あの人のVIEW POINT

カイゼンの発想で北海道農業を希望の産業に

キーワード:あの人のビューポイント

田中 義克さん

地方独立行政法人 北海道立総合研究機構
理事長 田中 義克さん

 

Profile:1951(昭和26)年、愛知県刈谷市生まれ。名古屋大学大学院修士課程機械工学修了後、トヨタ自動車工業株式会社入社。トヨタ自動車株式会社常務役員を経て、2006(平成18)年トヨタ自動車北海道株式会社取締役社長に就任。2017(平成29)年同社顧問で退任後、北海道より要望を受けて2018(平成30)年4月より現職。(道総研プラザで撮影)

 

この記事は2019年12月1日に掲載された情報となります。

 

愛知県でのトヨタ時代は変速機のラインを計画する、生産技術と製造の業務に長らく従事しておりました。トヨタ自動車北海道に転籍し、11年間勤め上げたタイミングで現職のお誘いがあった時は、正直迷いました。

道総研の六つの研究本部のうち、農業などの第次産業は、ものづくりという共通点はあっても、私にとって専門外。にもかかわらず声をかけていただいたことが大変ありがたく、「これまでお世話になった北海道のお役に立てるのであれば」、そう考えて微力ながらお引き受けした次第です。

トヨタ時代から実感しておりました道民気質はまじめかつ堅実で、非常にものづくり向きです。その方で変革が必要な際に慎重となりすぎる面も感じます。

これからの農業経営を考えると、反収だけにとらわれず労働時間当たりの生産性を〝カイゼン〟する意識や、ご自分やご家族の労働を人件費として自覚する、発想の転換が重要になってくると思います。

北海道農業が持つポテンシャルは他府県よりも十分高く、〝カイゼン代〟も大きい。その変革への道のりを、私ども北海道立総合研究機構が強力な支援パートナーとして並走したいと考えております。

カイゼンが求められるのは、我々技術者、研究者も同様です。いつまでに何を達成するのかというスピード感や効率化、コスト意識を踏まえ、その先の事業化プラス販売戦略まで視野に入れたものづくりで、北海道の農業を希望の持てる産業にすることが我々の使命です。

全てのものづくりは現場の声に耳を傾けるところから。まずは生産者の皆さんに「困ったことがある時は道総研に相談してみよう」と思っていただける存在になれるよう精杯努めてまいります。