機械が生み出すゆとりから笑顔が増える農業に

キーワード:あの人のビューポイントスマート農業自動操舵トラクター

白石農園 代表 白石 学

白石農園 代表
白石 学

この記事は2020年6月1日に掲載された情報となります。

「スマート農業」と聞くと敷居が高いと感じる方が多いかも知れませんが、〝一度に全ての機械を変えなければならない〟なんていう縛りはないと思うんです。

うちも「新十津川町スマート農業実証コンソーシアム」に参画する以前に、ちょうど機械を更新するタイミングだったので、まずは直進アシスト田植機を導入してみたという、始まりは小さなステップからでした。

「なるほど、こういう便利なものなのか」と実感できるようになったタイミングで町をあげてスマート農業に取り組む話を聞いて、思いきって応募してみました。

昨年は自動運転トラクターや水田センサー、ドローンなどを一気に導入したので、まずは基本の使い方を覚えるので精一杯(笑)。

妻も自動運転トラクターの講習を受けて動かせるようになりましたし、春先は圃場の内側をそのトラクターに任せて自分は外周を耕す〝同時に二台〟体制でぐっと作業効率が上がりました。

本当の意味で各機械を使いこなし、効果を実感できるのはこれからだと思います。

こうしたスマート農業の力を借りれば、夜業や遠くの圃場を何度も見に行く手間が減り、我々生産者の体もどんどんラクになっていくと思うんです。

心身や時間にゆとりができれば、いい仕事にもつながります。

新しくできた時間でほかの野菜を作って農業所得を上げたり、JAと連携して地域ブランドづくりに力を入れることもできる。

実現しづらかった家族旅行も夢ではなくなります。

機械を導入して自分のところだけが良くなっていくということではなく、〝みんなで良くなっていくチャンスが生まれる〟。

スマート農業の真の価値はそこにあるのではないかと理解しています。

Profile
1980(昭和55)年、新十津川町生まれ。酪農学園大学環境システム学部経営環境学科卒業。医療・介護用品の販売会社に5年間勤務したのち、実家に就農。白石農園四代目。水田は半数を占める「ゆめぴりか」と、「ふっくりんこ」「ななつぼし」を栽培。2019(令和元)年から「新十津川町スマート農業実証コンソーシアム」に参画。スマート農業の実証農場として道内外から注目を集めている。