一般社団法人エゾシカ協会
専務理事 松浦 友紀子
この記事は2025年6月1日に掲載された情報となります。
人とエゾシカは共存できるのか。私は「できる・できないではなく、やるかやらないか。どうやって共存できるかを具体的に考えていきましょう」と毎回お答えしています。
昔も今も北海道の森にエゾシカは生き続け、人とシカの付き合いはこれからも続きます。
私たち一般社団法人エゾシカ協会も「森とエゾシカと人の共生」を掲げ、行政や大学、関連組織と連携しながら前向きな管理体制づくりをお手伝いしています。
その一つとして野生動物管理の先進国であるイギリスをモデルに、シカ捕獲者の育成と認証を行うシカ捕獲認証制度(DCC)を創設しました。
安全かつ効率的、人道的にシカを捕獲するための知識や、食肉衛生などを学ぶ専門人材の育成を目的とし、座学のレベル1と実技のレベル2を設けています。現在、前者は200人近く、後者は3人ほど資格取得者を輩出しています。
もし「自分たちも自衛のためにエゾシカに関する正しい知識を身につけたいので勉強会をしたい」というご要望がありましたら、ぜひ気軽に協会までお問い合わせください。
また、海外事例を参考に夜間銃猟などの新技術を導入して、捕獲困難地での捕獲も行っています。
北海道のエゾシカ被害額は年間約51億円といわれていますが、そもそも「害獣」という種類の動物はいないんですよね。
森に生きる彼らは「森林資源」。資源だからこそ、数が増えすぎたら捕獲して肉や皮を食べたり売ったりして活用する。
捕獲自体がゴールではないということを広めようとしています。こういうシンプルな循環システムが確立できるのは、広大な森林に囲まれた北海道にしかできないことだと思います。
皆で知識を共有し、資源を循環して楽しく暮らせる北海道にしていきたいですね。