この記事は2025年6月2日に掲載された情報となります。
北海道 環境生活部 自然環境局
野生動物対策課 課長補佐
寒河江(さがえ) 正さん
農地で悪さをする野生動物を自分で捕獲することはできるのか。その際はどのような手続きが必要なのか。詳しく教えてもらいました。
野生動物は勝手に捕獲していいの?
野生鳥獣を獲るのは原則禁止されています。ただし狩猟免許を持ち、狩猟者登録した人は、狩猟期間(原則10月1日から1月31日まで)に限り、決められた種類の鳥獣の狩猟が認められています。
一方、農林業被害の防止など目的を持った「許可捕獲」は、申請して許可を得れば年中いつでも可能です。農作物が被害を受けている時期に捕獲する場合は、許可捕獲となります(図1)。

許可捕獲にはどのような手続きが必要ですか?
「狩猟」も「許可捕獲」も、狩猟免許を取得するのがスタートです。狩猟免許には「網猟」「わな猟」「第一種銃猟(装薬銃・空気銃)」「第二種銃猟(空気銃のみ)」の4種類があります。
試験の内容は筆記試験、適性検査、技能試験で、それぞれの種類ごとに違います。また、狩猟免許は3年に1回の更新が必要です。
道内に狩猟免許を持っている人はどのくらい?
2023年度で所持者は延べ1万3,167人います。うち第一種銃猟免許を持つのは7,177人ですが、全員が銃を持って活動しているわけではありません。
ハンターの減少や高齢化が課題となっていますが、ここ数年は有害鳥獣の駆除に貢献するため狩猟免許を取得する方が増えています。

免許を取ったあとの手続きは?
狩猟免許を持っているだけでは狩猟はできません。振興局に申請して「狩猟者登録」を受ける必要があります。手数料は登録する狩猟免許ごとに1,800円、他に狩猟税の支払いが必要です。
更に、銃を所持するには公安委員会の許可が必要となります。鍵付きのガンロッカーなど保管に関する細かな決まりもあり、さまざまなハードルをクリアしなければなりません。
狩猟免許がなくても捕獲できる場合とは?
特定外来生物に指定されているアライグマに関しては、市町村が「防除実施計画」を策定していて、その計画に基づいた駆除の講習会などを受講すると、狩猟免許がなくても捕獲できる場合があります。お住まいの市町村に確認ください。
捕獲の際に気を付けることは?
エゾシカを捕獲しようと、わな猟の狩猟免許を取得する方が増えています。くくりわなは、わなにかかった個体にとどめをさす「止めさし」が必要ですが、止めさしをしようとして、エゾシカの角で胸を刺されて死亡する事故も発生しています。免許を取ったら、捕獲に熟練した狩猟者から技術を習得するなどして、十分な安全配慮をお願いします。
捕獲や駆除は誰かに依頼できますか?
駆除を実施している市町村もあるので、まずは地域の役場などに確認ください。また、北海道知事が認定した「認定鳥獣捕獲等事業者」や、地域のハンターさんに個人的に依頼する方法もあります。
認定鳥獣捕獲等事業者はこちらから確認ください>>認定鳥獣捕獲等事業者制度ホームページ