この記事は2024年10月1日に掲載された情報となります。
数え切れない種類が存在する土壌微生物。作物を育てる観点から代表的土壌微生物として根粒菌と菌根菌を紹介します。
参考:「図解でよくわかる土壌微生物のきほん」横山和哉監修 誠文堂新光社刊 「新装版土壌微生物の基礎知識」西尾道徳著 農文協刊 「人に話したくなる土壌微生物の世界」染谷孝著 築地書館刊 「世界一やさしい!微生物図鑑」鈴木智順監修 新星出版社刊
マメ科の作物に栄養を供給
<根粒菌>KONRYUKIN
マメ科の植物の根に着生する細菌です。根の中に入り込み、「根粒」と呼ばれる5㎜前後の小さなつぶつぶの組織を作ります。
根粒菌は植物が光合成で得た炭水化物(糖分)を栄養源とする一方で、大気中の窒素ガスをアンモニアなどの窒素化合物に変換し、植物が吸収しやすい形に変えてくれます。着生する根粒菌はマメ科の種類ごとに異なり、大豆、小豆、インゲン豆、エンドウ豆など、それぞれの特定の組み合わせでなければ共生しません。
菌糸を伸ばし、土壌のリンを回収
<菌根菌>KINKONKIN
菌糸を伸ばして成長する糸状菌の一種で、カビの仲間です。植物の根に菌糸をからみつかせ、根の中や外側で成長。そこから土壌中に菌糸をぐんぐん伸ばして、無機リン酸を集めてきます。
植物の根毛よりもはるか遠くまで菌糸を張り巡らせ、土壌中からリンを回収して供給してくれるので、植物にとっては頼りになる存在。一方で、菌根菌は共生する植物から有機酸を受け取り、自らの栄養源にしています。