営農排水改良の新世代機「カットシリーズ」登場

キーワード:農研機構

近年、北海道においても豪雨による畑作物の減収リスクが高まっており、圃場の排水対策の徹底が不可欠です。そこで、多様な土壌条件に対応できる新たな排水改良用施工機「カットシリーズ」を紹介します。

この記事は2020年8月1日に掲載された情報となります。

農研機構 農村工学研究部門 農地基盤工学研究領域 畑整備ユニット ユニット長 北川 巌

農研機構 農村工学研究部門 農地基盤工学研究領域 畑整備ユニット
ユニット長 北川 巌

Profile:北海道大学卒業。道総研中央農業試験場を経て、農研機構で現職。排水改良技術や気候変動対策に関する研究を担当。

カットシリーズのラインアップ

排水改良には、従来より心土破砕や溝切りなどが行われてきましたが、土壌条件に適さず効果が十分に発揮されない場合もありました。そこで、多様な土壌条件に対応できるよう排水改良用施工機を開発しラインアップ化しました(図1)。カットシリーズは、①資材の準備が不要、②従来の補助暗きょ技術より深層まで改良でき、③適用可能な土壌条件が広がり、おおむね全ての土壌に対して排水改良を施せることが特長です。まずは基本的な排水対策を行い(図2)、必要に応じて更に補助対策を実施しましょう。なお、補助対策実施の目安、土壌条件別のカットシリーズの使い分けを図3に示しました。

排水改良ラインアップ「カットシリーズ」の概要
図1.排水改良ラインアップ「カットシリーズ」の概要
基本的な排水対策
図2.基本的な排水対策
補助対策における土壌条件などに対応したカットシリーズの使い分け
図3.補助対策における土壌条件などに対応したカットシリーズの使い分け

土壌条件別の排水改良の考え方

排水改良の効果を十分に発揮するには、カットシリーズを含め、条件に適した工法と施工機の選択が重要です(図4)。例えば、無資材での心土破砕などの施工の場合、粘土で成形が容易な土ではカットドレーンなどで空洞を構築する工法が望まれます。方、堅密で崩れやすい土壌ではカットブレーカーなどによる心土破砕がおすすめです。また、もみ殻や堆肥、わらなどの収穫残渣を活用する有材補助暗きょでも土の硬さや土性により適した工法があります。

土壌条件による排水改良の方法・作業機選択例
図4.土壌条件による排水改良の方法・作業機選択例

現在、ホクレン営農支援センター等と連携し、道内での排水改良の実証に取り組んでいます。

最新技術の詳細は農研機構の下記サイトを参考にしてください。

営農排水改良ラインナップ技術 新世代機 カット・シリーズ
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/132584.html

診断に基づく栽培改善技術 導入支援マニュアル
http://www.naro.affrc.go.jp/project/research_activities/laboratory/carc/134256.html