当事者として戻ったから見えた地元の農業の姿

キーワード:あの人のビューポイント後継者

北竜町 竹林 司

北竜町
竹林 司

この記事は2020年10月1日に掲載された情報となります。

将来は漠然と農業を継ごうという気持ちはありましたが、当時から高齢化、輸入自由化など農業には暗い話題しかありません。

なぜこうなってしまうのか学びたいと思い、大学は農学部に進学。

農業経済を学び、更に現状を追求しようと日本農業新聞に就職して、記者として霞が関の記者クラブや九州・沖縄の農業の現場で経験を積みました。

大きく価値観が変わったのが、2016年の熊本地震の時です。

被災しながらもトマトの収穫に向かう生産者の姿を目の当たりにし、それまでも農業者に寄り添って報道をしている自負はありましたが、やはり自分にとっては「ひとごと」だったと気づかされました。

「自分も当事者として農業に向き合いたい」そう思って、北竜町に戻る決心をしました。

私が戻ると決めたちょうどその年、北竜ひまわりライス生産組合が生産情報公表JASの取り組みで日本農業賞大賞を受賞しました。

記者として農業の世界を知ったからこそ改めて、北竜町の生産者が一生懸命作り上げてきた農業のすごさを肌で感じました。

自分なりの栽培方法には固執せず、地域で団結してこだわりの米作りに取り組むのは、昔からの北竜町の風土であり、私が取材で見てきた生産者の姿とも重なります。

今はまず、父や地域の人から学び、自分が稲作の技術を身につけようと必死です。

そんな中でも、自分や北竜町の将来を頭に思い描いています。

同年代の後継者も戻ってきてはいますが、高齢化が進み、何もしなければ将来は明るくはありません。

町外の人が普通の就職先と同じように働きに来てくれるような仕組みを作れたら、町ももっと面白くなるのでは? などと考えながら仕事に励んでいます。

Profile
1988年、北竜町生まれ。北海道滝川高等学校、北海道大学農学部を経て、2012年に日本農業新聞に入社。東京都、福岡県等での勤務を経て、2017年に故郷の北竜町に戻り実家の農家に就農。2020年「令和元年度北海道青年農業者会議」の「アグリメッセージの部」で自身のUターン就農までの経験を発表し、最優秀賞受賞。福岡県勤務時代に知り合った九州出身の女性と結婚し、一緒に農業に励んでいる。