この記事は2025年4月1日に掲載された情報となります。
北海道農政部 生産振興局技術普及課
主査(普及指導)(農業革新支援専門員)
有田 匡志さん
ポイント
❶土壌分析に基づく適正な施肥設計
❷マット苗による省力化と健苗育成
❸品種や省力化などを踏まえた適正な栽植密度
❹高温期の掛け流しなど適正な水管理
❺【新技術】米のタンパク質含有率予測技術
❻「ブラスタム」を活用したいもち病の適期防除
ポイント❶
土壌分析に基づく適正な施肥設計
白未熟粒の発生を抑制し、低タンパク米割合を向上させるためには、適正な籾数を確保することが大切です。そのため、土壌診断結果に基づく施肥設計が重要です。
自分の地域がどの地帯に該当するか、土壌区分などの基本情報に加え、土壌診断結果を踏まえ、「北海道施肥ガイド2020」を参考に成分量や施肥量を算出します。
また、肥料の中でもケイ酸質資材は、窒素肥料に比べて目に見える生育への効果が実感しにくいですが、光合成の促進や耐病性の強化などのメリットがあるため、施用を推奨しています。

ポイント❷
マット苗による省力化と健苗育成
育苗を成苗ポットからマット苗に変える地域が増えています。マット苗のメリットとしては、高密度播種(写真1)を行うことにより、少ない面積で多くの苗を育てられるので、生産効率が上がり省力化が図れます。
㆒方、生育に遅れやバラつきが出たり、徒長苗になる場合もあります。
マット苗で健苗育成を実現するには、播種日や作業体系を計画的に組み立て、育苗後半に温度を上げすぎないなど基本技術に忠実な栽培を行うことで、しっかりとした丈夫な苗を作ることができます。


ポイント❸
品種や省力化などを踏まえた適正な栽植密度
穂揃いが不良だと品質低下を招くため、「ゆめぴりか」などの良食味品種では栽植密度を高め、㎡当たり25株以上(株間の目安 成苗ポット13㎝、中苗マット12㎝)を確保することを推奨しています。
㆒方、2023年度から試験栽培が開始された外食・加工用の新品種「そらきらり」では、疎植と窒素施肥量の増肥を組み合わせて収量が上がったという報告もあります。
水稲生産者の戸数が減る中、広い面積の圃場に植える省力化技術としては疎植も有効とされており、栽培する品種や経営に対する考え方によって判断してください。

ポイント❹
高温期の掛け流しなど適正な水管理
猛暑となった2023年、8月の登熟期間に掛け流しや水を切る時期を遅らせるなど、適正な水管理を行った生産者は品質低下を抑えることができました(図3)。
前年ほどではないものの引き続き高温傾向だった2024年も、暑い時期は圃場に水を入れるという意識が高まり、結果として白未熟粒の発生は少なく、高温が品質面に与える影響は低く抑えられました。引き続き、天候に対応した適正な水管理、慎重な乾燥調製を意識しましょう。

ポイント❺【新技術】
米のタンパク質含有率予測技術
北海道立総合研究機構において、「北海道米の戦略的生産体制支援システム構築に向けたタンパク質含有率予測技術の開発」が進められています。
位置情報(緯度、経度)とそれに基づく気象データ、移植日をアプリに入力すると、出穂期後30日(収穫前20日)までにタンパク値(タンパク質含有率)を早期予測する技術です。
主に「ゆめぴりか」の基準品率を早期に算出し、流通販売戦略に役立てられます。今年度は試験的な運用を行い、本格的な運用は来年度以降になる予定です。
ポイント❻
「ブラスタム」を活用したいもち病の適期防除
いもち病発生予測支援システム「ブラスタム」は、降雨により水稲の葉が濡れた状態で多発する、葉いもちの特性を利用して、気象庁のデータを基に葉いもちの発生時期を地域ごとに予測するプログラムです。
北海道立総合研究機構のホームページに掲載されているため、適期防除に活用してください。
