省力化最前線2

注目の省力化技術

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注目の省力化技術

 

この記事は2019年12月1日に掲載された情報となります。

 

各省力化技術によって省力化できる内容や導入適地、注意点などが異なります。中央農試の後藤研究主幹にそれぞれのポイントをお聞きしました。

 


注目の省力化技術 01

苗箱削減で育苗や田植えの労力をカット
高密度播種短期育苗(密苗・密播)

※「密苗」はヤンマー株式会社の登録商標です。また、本誌上では株式会社クボタが提案する技術を「密播」と表記します。

省力ポイント
育苗箱数・苗運搬時間最大1/3に削減

育苗資材費1/2に削減

技術概要
●育苗箱への播種量を通常の2〜3倍に増やし、14〜21日の短い育苗日数で移植する
●田植機で小さく掻き取って移植するため苗箱1枚当たりの移植面積は2〜3倍
●品質や収量は慣行栽培と同等

〈注意点〉
小さい苗を植えるため生育は4〜5日遅い

技術のポイント
●移植後は風や水管理に注意

適正
●中苗箱マットで育苗している方
●成苗ポットでは導入不可

推奨品種
●早生品種の「えみまる」(生育期間の長い地域は「ななつぼし」など中生品種も可能)

導入コスト
●播種機と移植機は専用のものが必要

推奨地域
●中苗箱マット育苗栽培地域(成苗ポットは不可)
●直播栽培や疎植栽培の導入が難しい地域、圃場

 

高密度播種短期育苗
※各種情報を元にホクレンで作成
早生品種(「えみまる」など)
早生・中生品種(「ななつぼし」など)
早生品種で技術導入の可能性がある地域(試験研究機関で現在検討中)

注目の新技術トピック

導入しやすさが魅力 密播中苗
平成31年道総研農業新技術

●箱当たりの播種量を2倍、育苗日数は慣行と同等
●育苗中は植物成長調整剤で徒長を抑制
●慣行と比べ、苗箱数を2/3へ削減
●品種の選定は慣行栽培と同様(地帯別作付指標に準ずる)
●中苗用の播種機、移植機の設定を変えるだけでそのまま使用できるので新たな設備投資不要

詳しい資料はこちら>

 

表1.高密度播種技術のまとめ
表1.高密度播種技術のまとめ
※苗箱数は使用する移植機の設定や栽植密度により変動する
※第4期「多様なニーズ事業」資料を元に作成

 


注目の省力化技術 02

苗をつくらないことで春作業を楽に
直播栽培

省力ポイント
春作業(種子予措・育苗管理〜移植・播種まで)の時間38%に削減

※北海道生産技術体系(第4版)より試算

技術概要
●苗をつくらず田んぼに直接播種する
●畑の状態で種を播く乾田直播と、代掻きをしてから種を播く湛水直播の2種類がある
●代掻きしない乾田直播は、水はけが良いため田畑輪換がスムーズ

〈注意点〉
10a当たり10〜13kg(通常の3〜4倍)の種が必要
天候によって出芽率に差がでる
雑草が生えやすく、特に乾田直播は除草剤が効きづらい
出穂は慣行栽培より10日以上遅い

技術のポイント
●乾田直播はチゼルプラウやロータリーでの耕起、レーザーレベラーでの整地、ケンブリッジローラ−での鎮圧などの作業が必要

推奨品種
●早生品種の「えみまる」、加工用の「大地の星」

導入コスト
●湛水直播は専用直播機が必要(主に筋播きタイプと点播タイプの2種類)
●乾田直播の播種機とケンブリッジローラーは麦と共用可能、ほかにレーザーレベラーなどの作業機と大型トラクターが必要

推奨地域
●夏季の積算気温・日照時間の少ない地域には不向き

直播栽培
※各種情報を元にホクレンで作成
早生品種(「えみまる」「大地の星」など)
早生・中生品種(「ななつぼし」など)

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注目の省力化技術 03

株間を広げて面積を拡大
疎植栽培

省力ポイント
育苗箱数最大1/2に削減

成苗ポットでも導入可能な技術

技術概要
●移植時に株間を広げて植える(畝の幅は同じで、通常12〜13cmの株間を2倍近くに広げる)
●収益は慣行と同程度を見込める(やり方によるが、収量がやや下がる一方で育苗資材コストが減るため)
●茎が丈夫になり倒状に強くなる

〈注意点〉
出穂期が約2日遅れる
収量は1〜5%ほど落ちる
タンパク値が高くなる

技術のポイント
●健苗の早期移植
●側条施肥の増肥(幼穂形成期の窒素の確保)
●初期の茎数を確保する水管理、登熟を促進させる後半の水管理

適正
●成苗ポットで栽培している方

推奨品種
●「そらゆき」など業務用向け品種

導入コスト
●田植機のギア交換のみ、新たな設備投資不要

推奨地域
●地図上の推奨地域以外でも、生育が中庸〜良好な地域や圃場で導入可能
●成苗ポット栽培地域や圃場

疎植栽培
※各種情報を元にホクレンで作成

詳しい資料はこちら>

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