この記事は2017年8月1日に掲載された情報となります。
JAいわみざわの水稲直まき研究会で会長を務める濱本 壮男さん。気象情報サービスをどのように活用しているのか、お聞きしました。
濱本 壮男さん
水稲の種を乾いた田に播く「乾田直播」に取り組む濱本壮男さん。
「直播に切り替えたいけど二の足を踏んでいる人も多いので、栽培技術が確立すれば、直播はもっと増えるはず」と考えています。
防除のタイミング予測だけでなく発展する可能性がある
農業気象サービスがスタートして4年目になります。僕は10年近く乾田直播に取り組んでいるので、当初は出芽までの日数が予測できればいいなと思ったんです。芽が出た段階で除草剤をまくと芽に悪いし、早くまきすぎると後から草が生えてくるので、できればぎりぎりのタイミングで、まきたい。そこを予測できるなら便利だと思いました。
毎日の温度と生育をチェックしていて気づいたのは、「肝心なのは初期の肥料の効かせ方」だということ。だから、気を使うのは追肥と除草剤のタイミング、あとは水の管理。天気を見ながら作業を組み立てるときに、気象予報サービスが活用できます。
とはいえ、いろんな作物を手がけると春先は作業が集中します。急ぐほうから手をつけているうちに、本来やるべきことが後回しになることもあります。そのため、すべての作物の生育ステージ予測を気象データをベースに一元管理できれば、先延ばしにしてしまった作業をすぐに把握できるようになり、とても使いやすくなると思います。
欲を言えば、生育予測のカレンダーと作業日報を組み合わせ、コスト管理までできたら最高ですね。そうした情報を農協と共有できれば、適期防除などの指導にも役立つし、栽培履歴の管理にも使えると思います。そうした可能性が気象データの活用で広がります。
活用範囲はまだまだ広がる
技術指導は一般的に、この時期には窒素肥料を何キロというようなマニュアルに陥りがちですが、本来は理論から教えなければ、結局うまく活用できないような気がします。作物の生育のメカニズムが理解できていれば、天気の影響で適期に作業ができなかったとしても、挽回できる可能性もあるはず。
といっても、今後、新規就農や法人雇用で未経験の人が増えた場合、やはり誰がやっても再現できるような支援ツールが必要。ですから、この気象情報をベースに、作物別の生育ステージごとに、作業計画が管理できるツールができることを期待しています。