アスパラガスの品種動向について

キーワード:アスパラガス品種品種技術
28 年アスパラガス品種比較試験における収量調査結果
28 年アスパラガス品種比較試験における収量調査結果
試験箇所:ホクレン長沼研究農場
定植3年目、収穫期間:3 週間

 

この記事は2016年12月1日に掲載された情報となります。

ホクレン 種苗園芸部 種苗課

 

POINT!
春どり普通栽培や立茎栽培、伏せ込み促成栽培向けの新品種をご紹介します。

 

北海道のアスパラガスは露地やハウスで栽培され、作型は春どりの普通栽培や立茎栽培、伏せ込み促成栽培などがあります。露地では耐病性や耐倒伏性に優れる「HLA-7(ガインリム)」が、ハウスでは頭部の締まりが良好で若茎品質に優れる「ウェルカム」が主要な品種です。

品種別の作付は「HLA-7」の割合が高く、次いで「スーパーウェルカム」の作付が伸びています(図1)

 

[図1]品種別作付割合
図1.品種別作付割合(平成26 年産)
資料:北海道農政部「平成26 年産主要野菜の品種別作付状況調査」(平成28 年1 月集計概数値)

 

近年、「HLA-7」より収量性が期待できる新品種や、伏せ込み促成栽培に適した専用品種が導入されてきていますのでご紹介します。

 

1.春どり普通栽培、立茎栽培向け新品種

① 「ゼンユウガリバー」(パイオニアエコサイエンス㈱)

オランダ系の全雄品種。「HLA-7」に比べ若茎は太く、頭部のしまりが非常に良く、品質も優れるため規格内収量が高い。また、側枝の節位が高いため、ハウス立茎栽培にも適する。

近年、道内での作付が増加しているが、耐倒伏性および耐病性は「HLA-7」よりやや劣るため、収量性の確保には倒伏防止や徹底防除など適切な管理が重要。

 

ゼンユウガリバー
ゼンユウガリバー

 

② 「ウェルカム・AT(アティカス)」(㈱サカタのタネ)

全雄F1 品種。若茎は太く揃いも良好。定植後2年目から高い太物率が期待できる。

草勢は強いが側枝の発生はおとなしく管理がしやすい。

耐倒伏性は「HLA-7」よりやや劣るため、収量性の確保には倒伏防止や徹底防除など適切な管理が重要。

 

ウェルカム・AT
ウェルカム・AT

 

2.伏せ込み促成栽培向け新品種

これまで「ウェルカム」が主に利用されていましたが、「ウェルカム」より休眠が浅く、高収量が期待できる新品種を紹介します。

① 「太宝早生」太物が多く揃い良好。収量性が高い。全雄品種。
② 「クリスマス特急」早生で揃い良好。全雄品種。
③ 「ウィンデル」早生で初期収量が高い。雌雄混合品種。
( 3品種ともパイオニアエコサイエンス㈱)

「ウェルカム」より早期出荷可能な伏せ込み専用品種。

10月下旬の株堀上げ・伏せ込みにより11月に出荷可能。需要の高い年末に安定した収量が得られる。

これら品種の組み合わせで長期間の安定出荷が可能。

 

太宝早生
太宝早生

 

なお、ホクレン農業総合研究所では北海道に適した品種の選定を目的に、平成26年より品種比較試験を実施しています。本試験での品種特性の把握により品種選択の幅が広がり、北海道産アスパラガスの高品質・安定生産につなげたいと考えております。

種苗のご購入に関するお問い合わせはお近くのJA まで、品種の特性に関するお問い合わせは、ホクレン種苗課(☎ 011-232-6222)までお願いします。