除草剤

農薬の上手な使い方②~除草剤編~

キーワード:品種技術農薬防除
農薬の上手な使い方②~除草剤編~
この記事は2017年4月1日に掲載された情報となります。

ホクレン 肥料農薬部 技術普及課

 

POINT!
雑草の種類と散布適期を把握して効果的に雑草防除を実施しましょう!

 

作物を栽培する上で必要なものに雑草対策は欠かせません。雑草害は収量の減少(図1)はもちろん、作物の品質や作業性の低下などを引き起こします。その対策の一つとして除草剤があります。除草剤の上手な使い方を紹介します。

 

図1.雑草害による減収事例
図1.雑草害による減収事例(小川ら、1979)

 

1.除草剤とは

除草剤は、雑草に対しては殺草力を示し、作物には影響が小さいという相反する性質をもっていなければなりません。そのため、除草剤の多くは「選択性」といわれる作用をもちます。

例えば豆類の場合、ヒエなどのイネ科雑草に効果が高く、広葉植物には影響の小さいイネ科選択性の除草剤があります。その一方で、逆の性質(広葉選択性)をもつ除草剤もあります。

ただし、これら選択性をもつ除草剤においても、使用条件(薬量、濃度、処理時期、作物の生育状況、土壌条件等)によっては効果を十分に発揮できないことや、作物に影響を及ぼすこともあるので、使用にあたってはラベルを確認するなどの注意が必要です。

 

2.土壌処理剤について

土壌処理剤は「耕起後、雑草の発生前~発生直後に土壌表面に薬剤を処理、処理層を形成させることで雑草の生育を防ぐ除草剤」です。これは、土壌水分の力を借りて処理層を形成することがポイントになります。しっかりと効かせるには砕土や整地をていねいに行い、均平になるよう心掛けましょう(図2)。

 

図2.薬剤処理層の様子
図2.薬剤処理層の様子(イメージ)

 

土壌が乾燥していると効果が不安定になるので、適度に土壌水分がある時に散布しましょう(図3)。

 

図3.土壌水分による土壌処理剤の散布適期(イメージ)
乾燥してサラサラしている
乾燥してサラサラしている(散布に適さない)

 

手にべたつく
手にべたつく(散布に適さない)

 

べたつくことなく握るとだんご状になる
べたつくことなく握るとだんご状になる(散布に適した土壌条件)

 

3.茎葉処理剤について

茎葉処理剤は「生育中の雑草に直接散布する除草剤」です(図4)。散布後、数時間以内に変色やしおれ等の症状が現れる速効的なものや、効果の発現まで1週間以上かかる遅効的なものもあります。

 

図4.茎葉処理剤
図4.茎葉処理剤(イメージ図)

 

除草剤を使用する際の注意点ですが、降雨があると薬剤成分が流亡するなどして効果の低下や薬害を起こすことがあるので、散布後1日程度降雨のない好天の日を選んで散布するようにしましょう。

 

4.水稲除草剤について

湛水条件下で使用される水稲除草剤は、散布後の処理層を破壊しないための水管理が非常に重要です。早期に減水したり、水深が浅い場合、効果不良や薬害を生じる可能性がありますので、散布後4〜5日間は水管理に十分な配慮が必要です。

また、処理した除草剤の効果は雑草の生育段階(葉齢)に大きく影響を受けます。そのため、雑草の葉齢を意識した散布を行いましょう。ノビエの場合、葉齢は鞘葉(しょうよう)の次にすぐ抽出する本葉から数え、2葉期以降は展開終了時の大きさを予測して判断します(図5)。

 

図5.ノビエの葉齢
図5.ノビエの葉齢
(公益財団法人日本植物調節剤研究協会資料より(一部加筆))