牛の飼養管理における改善の取り組み

キーワード:デーリィNaviホクレン訓子府実証農場飼養管理
写真1標準作業手順書「デーリィ-Navi-」-
写真1.標準作業手順書「デーリィ-Navi-」  こちらからダウンロードできます
この記事は2023年10月13日に掲載された情報となります。

カテゴリー:生産振興
実施年度:2022~2024年度
対象:JA釧路太田
実施:釧路支所営農支援室、訓子府実証農場 畜産技術課
協力関係機関:釧路農業改良普及センター、全農家畜衛生研究所クリニック北海道分室

 

POINT
●訓子府実証農場で活用している「デーリィNavi」を基に講習会を実施
●実際の生産現場で「デーリィNavi」活用による成果を確認

 

分娩時、哺乳時の事故を減らすために知識の向上を図る

畜産現場では、家畜の分娩時および哺乳時の事故が課題となっています。また乳牛は、乾乳、飼養、衛生など、さまざまな管理が求められます。

こうした状況を改善するためにJA釧路太田、農業改良普及センター、全農クリニック、ホクレン訓子府実証農場で連携。訓子府実証農場の職員が酪農場のSOP(標準作業手順書)のひな形である「デーリィ Navi」(写真1)を活用して作成した飼養管理マニュアルに基づき、講習会を開催しました。

その中で子牛の死廃事故率低減や産乳成績向上につながるよう飼養管理方法の知識習得を図りました。また、生産者の協力を得て現場での飼養管理状況の確認と改善を進めています。

意見交換会で提案があり、実際に生産現場を訪問

2022年4月20日に開催した講習会では生産者11名を含む22名が参加(写真2)。飼養管理方法の講習を受けた後、意見交換を行いました。

また、受講した生産者やJAから提案があり、6農場を実際に訪問。拭き取り検査(菌数検査)による環境調査(写真3)や飼養管理改善に対する提案を実施しました。

写真2講習会の様子
写真2.講習会の様子

 

写真3拭き取り検査の様子
写真3.拭き取り検査の様子

「デーリィ Navi」には改善に向けたヒントがある

今回、農場を訪問し、提案した内容は次の通りです。

  1. 哺乳ボトルやバケットミルカーなど器具類の洗浄方法
  2. ハエ対策の除糞(ふん)・清掃・駆除剤散布
  3. ビニールハウス哺育舎への寒冷紗取り付け
  4. 老朽化した哺育舎の壁や仕切り板の修繕
  5. 哺育舎内の石灰塗布
  6. 哺育房で1頭ずつの管理を徹底
  7. 子牛ハッチの作製 など

提案内容は多岐にわたり、さまざまな取り組みの結果、6農場のうち5農場で拭き取り検査の結果を改善することができました(図1・2)。

図1拭き取り検査【一般生菌数】
図1.拭き取り検査【一般生菌数】
図2拭き取り検査【大腸菌群数】
図2.拭き取り検査【大腸菌群数】

2023年度については検査項目を生体検査(血液・糞便)にまで広げ、子牛状態の把握や改善を目指します。また、報告会などを通じ実際に調査をした農場以外にも普及していく予定です。

「デーリィ Navi」には、酪農場の改善に向けたヒントがたくさんあります。ぜひ参考にしてください。

「デーリィ Navi」やマニュアルづくりは、下記のアグリポートWebの記事でも紹介しています。
●「情報クリップ: 酪農作業の標準化に役立つ「デーリィNavi」>記事を読む
●「現場で使える!マニュアル講座VOL.1」>記事を読む