酪農作業の標準化に役立つ「デーリィNavi」

作業のやり方を統一し教育にも生かせる、各農場に合ったSOP(標準作業手順書)。その作成に役立つ「デーリィNavi」を紹介します。

この記事は2020年10月1日に掲載された情報となります。

ホクレン 訓子府実証農場 畜産技術課

デンマークの酪農に関するSOP(標準作業手順書)の日本版

酪農の仕事は、搾乳や飼料給与、乳牛の観察など多岐にわたります。それらのやり方や考え方が人によって違うと、結果も不安定になりやすいものです。また、従業員を雇用する機会が増えており、農場に合った作業手順を着実に行ってもらうことが重要ですが、熟練した作業を見るだけでは、作業のやり方や目的などは十分に伝わりません。

こうしたことの解決に、国内の製造業では、個々の具体的な作業を図などを使って解説する、SOPを作成し業務改善する例が見られます。しかし、酪農の現場でこれを整備するには多くの手間がかかり、なかなか手がつけられないのが現状でした。

そこで、デンマークのSEGES(セゲス)が製作し現地で普及している酪農用のSOPを、日本国内向けに翻訳、編集、配布する権利を釧路農協連、全酪連、ホクレンの3者が共同で取得し、日本の酪農の実態に合わせて編集したのが「デーリィNavi」です。

※農業に関する調査分析や助言などを行っているデンマークの農業研究機関

「デーリィNavi」

SOPは、経営者とスタッフとの約束事

「デーリィNavi」は、酪農のSOPのひな形となるものです。「搾乳」「繁殖」「分娩」「子牛」「乾乳牛」「給餌・水」「蹄」「農場衛生」の8項目からなっており、ほぼ全ての酪農場に共通する内容を整理し、基本となる仕事の手順やポイントなどを記載しています。イメージとして伝わりやすいよう、写真や図を多く取り入れ、文章も要点を簡潔にまとめています。

SOPを作ることで、望ましい作業のやり方を見える化でき、誰もが同じ質で作業できるようになったり、作業内容を人に教えやすくなります。

作成にあたっては、農場内の課題を整理し、経営者だけでなく農場スタッフも緒になって取り組むことで、農場内で働く人の共通認識となり、より活用が図れます。SOPを農場経営者とスタッフとの約束事と言い換えてみてはいかがでしょうか。

「デーリィNavi」

デーリィNaviを各農場のSOP作成にご活用ください

「デーリィNavi」には基本的な内容を記載していますが、当然、農場ごとに異なるところがあります。そのため、各々の農場に合ったものに自由に書き換えできるよう、「ワード」のファイルで作られています。

専用H‌Pにアカウント登録するとファイルをダウンロードでき、自由に使うことができます。なお、基本形があるとはいえ、8項目全てを気に作成するのはとても労力がかかります。まず優先させたい項目から徐々に取り組むことをおすすめします。

「デーリィNavi」の詳細は専用H‌P内の動画による解説やパンフレット、緒にダウンロードできるFAQ(よくある質問)をご参照ください。そのほかのお問い合わせはホクレン訓子府実証農場までお願いします。

「デーリィNavi」
「デーリィNavi」は下記のアドレスからダウンロードできます。 http://946nokyoren.or.jp/dairynavi/

FAQ(よくある質問)
FAQ(よくある質問)もご覧ください。