松崎牧場・獣医師
嶋守 綾美(JA新はこだて)
この記事は2024年11月22日に掲載された情報となります。
私たち繁殖農家は牛を生後9〜10カ月くらいまで育て、肥育農家へ送り出しています。牛の評価が良ければ購入していただけますし、悪ければ購入していただけません。
評価が経営に直結しているのです。今は受精卵の流通が㆒般的になっていることもあり、牛の評価は妊娠中を含めて出荷までの管理と飼育が大きく影響しています。
それだけに愛情をかけて育てた牛が市場で高値を付けてくれると「私の仕事を牛のプロが認めてくれた」ようで本当にうれしいものです。
牛は手間を省けば病気になるし、手間をかければ応えてくれます。私たちがかけた愛情に応えて市場で恩返ししてもらっている感覚です。
また、市場では価格上位3位までの出品農家を表彰する制度があり、私の励みになっています。私が就農して5年が経ち、これまで10枚の賞状をいただきました。
表彰されれば家族全員で喜び、トップを逃せば「次、頑張ろう!」と励まし合う。いただいた賞状は玄関に貼っていて、牛舎へ行くたびに「いい牛を育てよう」と私のモチベーションをアップしてくれます。
私にとってはやりがいのある仕事ですが、畜産農家の戸数は減少傾向に。ただ、うちの牧場でも、モバイル牛温恵を導入して出産予定日の牛に付きっきりにならなくてよくなるなど、スマート農業によって労力は軽減されています。
機械に頼れるところは頼り、自分や家族との時間をしっかり取れるようになってきました。労働環境が良くなり、さまざまな方が農業に関わることで多様な農家が共存できるようになって欲しいです。
その中で私たちは小さな牧場だからこそ㆒頭㆒頭に愛情を注ぎ、育んでいきたいと思っています。そして、いつか全国和牛能力共進会でトップに輝くような牛を出したいですね。