農業士の仲間とともに 自分が目指す農業を

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北海道農業士協会 会長 大廣 和幸

北海道農業士協会 会長
大廣 和幸

この記事は2022年10月1日に掲載された情報となります。

自宅から少し離れた私の圃場は北に羊蹄山、東に洞爺湖を望む高台にあります。

同じ町内でも場所によって、羊蹄山由来の火山灰か有珠山系由来かなどで地力や水はけが異なる土壌。

それぞれの場所で生産者たちが思い思いの工夫を凝らして、洞爺湖町らしい農業を展開させています。

私が父から事業を受け継いだのは35歳の時でした。

農業は全ての工程において、さまざまな試みができますが、チャンスは年に一度きり。

自分があと何十年現役で出来るのかを考え、思い切って父に事業継承の話を持ちかけたところ、首を縦に振ってくれたことに今も感謝しています。

代替わりをしてからは、皆が「難しい」と敬遠しがちなセルリーをつくり始め、近年は洞爺湖町で生産者が多い馬鈴しょの種芋を育てる、種子馬鈴しょ生産組合立ち上げの仲間にも加わりました。

人が飛びつきづらいことにこそ将来的なビジネスチャンスがあると信じて、どちらも魅力ある商材に育てていきたいです。

北海道農業士協会は私が理事を務めていた頃から研修事業に力を入れており、農業士の皆さんに見聞を広める機会が等しく提供されています。

「農業士になったら何かをしなければいけないのか?」と考えるより、「農業士の肩書きや人脈を活用して、自分がやりたい農業やビジネスチャンスに結びつけていく」と、主体的に考えていただけたら当会の存在も身近に感じてもらえるのではないかと期待しています。

農業人口が減少する中、持続可能な農村社会を作っていくには移住者や子育て世代の存在が必要不可欠です。

農業の産業面だけでなく文化的な側面にも関心が集まり、皆で農村を盛り立てていけたらうれしいです。

Profile
1978(昭和53)年、洞爺湖町出身。香川県から入植した大廣農園の4代目。八紘学園北海道農業専門学校を卒業後、実家に就農。2014(平成26)年に事業継承を果たす。代々続けてきたてん菜や馬鈴しょを中心に、セルリーやスイートコーンなど新たな品目にも挑戦中。北海道農業士協会の理事、副会長を経て、2021(令和3)年から会長に就任。地元の猟友会にも所属。