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病害虫発生予察情報の活用法

キーワード:農薬

「巡回調査」と「定点調査」

北海道病害虫防除所で行っている「病害虫発生予察」とは、具体的にどのような内容なのでしょう。Q&Aで分かりやすくご紹介します。

この記事は2020年6月1日に掲載された情報となります。

Q1. 病害虫発生予察情報とは何ですか?

A. 病害虫の発生量や発生時期を予測し、必要な防除対策についての情報を提供します。

「注意報」「特殊報」

毎月一度「予報」や「月報」を発表しているほか、必要に応じて「注意報」「特殊報」を出して警戒を呼びかけます。

【予報】4〜8月の間、毎月末に翌月の病害虫発生時期の早晩や発生量の多少についての予測を「発生予察情報(予報)」として発表しています。

【月報】5〜10月の間、毎月中旬に前月の病害虫の発生状況を「発生予察情報(月報)」として発表しています。

【注意報】多発生が予想される病害虫が明らかになった場合は、随時「発生予察情報(注意報)」を発表しています。年によって増減はありますが、年間5件程度のリリースです。

【特殊報】薬剤耐性菌や抵抗性害虫の発生が確認されたり、国内や道内で未確認だった重要病害虫の発生が確認された場合は「特殊報」として注意を呼びかけることもあります。

Q2. どのように調査をしているのですか?

A. 全道の巡回調査と農業試験場での定点調査を組み合わせています。

予察調査の対象作物は、水稲、麦類、とうもろこし、豆類、馬鈴しょ、てん菜、玉ねぎ、ねぎ、にんじん、大根、キャベツ、ブロッコリー、りんごです。「巡回調査」と「定点調査」で、発生状況・被害状況を調査しています。

「巡回調査」と「定点調査」

【巡回調査】
農業改良普及センターの普及員が手分けし、道内各地の生産者圃場を巡回して調査します。実際に防除を行っていることが条件で、たくさんの圃場を対象にしており、リアルな発生状況を調べています。

【定点調査】
地域別の発生推移を解析するため、道内6カ所の農業試験場に設置した無防除の圃場を調査します。農薬の影響を排除し、その年の気象条件の下で病害虫の発生状況を5〜10日間隔という短い間隔で継続して調べます。調査地点は少ないものの、ほぼ同じ場所で継続して調査を行っているので、過去10年程度の平均値との比較により、当年の多少を比較的高い精度で評価できるのが特徴です。防除をしないため、病害や虫害で全く収穫できない場合もあります。

Q3. 今年度、特に注意すべき病害虫は?

A. 小麦の病害や土壌病害、野菜の虫害にご注意ください。

現在、注意喚起しているのは小麦の病害と土壌病害、ネギアザミウマによる野菜類の虫害です(下記参照)。このほか、ここ数年多発が続いている「りんごの腐らん病」「りんごの黒星病」にも引き続き注意が必要です。

秋播き小麦の赤さび病

【秋播き小麦の赤さび病】
「きたほなみ」においても赤さび病の発生が目立つようになっています。早いうち(止葉の抽出が始まる頃)から薬剤散布が必要です。「ホクシン」で行っていたような防除計画が必要になる場合もあります。

縞萎縮病
縞萎縮病
立枯病
立枯病

【秋播き小麦の土壌病害】
縞萎縮病や立枯病など土壌病害が顕在化しています。これらは薬剤散布では防げません。小麦の栽培頻度が高い状態を続けてしまうと、徐々に土壌病害を増やしてしまうため、小麦の連作や短期輪作はできるだけ避けましょう。

【野菜類のネギアザミウマ】
昨年は、早い時期からネギアザミウマが多発生となりました。今年も高温の場合、増える可能性があるので早めの防除を。合成ピレスロイド剤に対する抵抗性の個体群が多発していることを考慮に入れて薬剤を選択しましょう。

Q4.予察情報を活用するには?

A.北海道病害虫防除所のホームページをチェックしましょう。

北海道病害虫防除所のホームページでは「病害虫発生予察情報」や「病害虫速報」「北海道病害虫・雑草防除ガイド」を毎年、公開しています。メールアドレスを登録しておくと、予察情報の発表のたびにお知らせする「メール連絡サービス」も行っているので、予察情報を参考に自分の圃場を定点調査してみるのもいいでしょう。

http://www.agri.hro.or.jp/boujosho/