殺虫剤

農薬の上手な使い方 ~殺虫剤編~

キーワード:害虫農薬防除

農薬の上手な使い方~殺虫剤編~

この記事は2017年6月1日に掲載された情報となります。

 

ホクレン|肥料農薬部|技術普及課

 

POINT!
登録内容を守り、異なる作用メカニズムの殺虫剤を組み合わせた防除を実施しましょう!

 

1.北海道内で確認されている主な殺虫剤抵抗性害虫

害虫防除は安定した作物生産に欠かせないものです。しかし、近年、害虫の中には、抵抗性を持ち殺虫剤が効かないものが現れています。道内でも、これまでにイネドロオイムシ、ヒメトビウンカ、コナガ、ネギアザミウマ、ナミハダニで確認されています(表1)。

 

表1.殺虫剤に抵抗性を持つ害虫が確認されている事例
表1.殺虫剤に抵抗性を持つ害虫が確認されている事例

 

抵抗性を持つ害虫が道内に現れたのは、抵抗性を持つものが道外から飛来・侵入した以外に、同一系統薬剤の連用などで抵抗性を発達させたケースがあります。そこで今回は、それを防ぐポイントを紹介します。

 

2.殺虫剤の種類と特徴

殺虫剤にはさまざまな種類がありますが、作用点(薬剤が作用するところ)の違いで大きく分類することができます(表2)。同じグループの薬剤であれば、違う商品名であっても作用点は同じになります。

 

表2.殺虫剤の作用点による分類
表2.殺虫剤の作用点による分類

 

3.抵抗性個体群の出現と防ぐポイント

薬剤の効き方には同じ害虫の中でも個体差があるので、一般的にとても良く効く薬剤も、登録濃度より薄く散布すると薬剤に強い害虫が防除できない(生き残る)可能性が高くなります(図1)。ラベルをよく確認し、登録濃度で防除することが大切です。

 

図1.登録より低い濃度での防除の危険性
図1.登録より低い濃度での防除の危険性(引用元はこちら>)

 

また、同じグループの薬剤を連用すると、その薬剤に強い害虫の割合が増え、効かなくなる恐れがあります(抵抗性個体群の出現)(図2)。

 

図2.同じ薬剤の連用による抵抗性個体群の出現
図2.同じ薬剤の連用による抵抗性個体群の出現

 

それを防ぐためには、薬剤散布前に、その薬剤がどのグループに属しているか把握し、作用メカニズムが異なる薬剤のローテーション防除を心掛けることが重要です。

散布時期についても、一般に若齢幼虫の方が薬剤に対して弱く、齢期が進むにつれて強くなるので、害虫が発生したら早めに散布することが基本となります。

日ごろから圃場を良く観察し、薬剤の特性や害虫の発生状況などを踏まえて、薬剤の効果を十分引き出せるように防除を実施しましょう。

 

4.耕種的防除も忘れずに

抵抗性個体群の出現を防ぐ上では薬剤だけでなく、輪作や圃場周辺の雑草地の管理など、耕種的な防除も重要です。効果の高い薬剤を末永く使用していくためにも、殺虫剤のみに頼らない総合的な防除を心がけましょう。