この記事は2017年6月1日に掲載された情報となります。
ホクレン|肥料農薬部|技術普及課
POINT!
施防協の試験結果をご紹介します。
「水稲の一年生および多年生雑草に対する除草剤(初中期-発処理)効果確認」
「アブラナ科野菜の害虫(チョウ目)に対する効果確認」
JA・ホクレンでは、施肥防除に関する課題解決に向け、農業試験場・普及センターなどと連携し、全道各地区に「施肥防除合理化推進協議会(施防協)」を組織し、各地域の実情に応じた新資材・新技術の実用性確認試験を行っています。
特に全道的な普及が期待されるものは「共通課題」として、全道各地で試験を行っています。前号の施肥関係に続き、今回は防除関係の試験結果を紹介します。
1.水稲の一年生雑草および多年生雑草に対する初中期一発処理除草剤の効果確認
道内の水田では、ホタルイ、ミズアオイ、オモダカなどの雑草に、特定の除草剤成分(SU系)が効かない例が確認され問題となっています。
近年、新たに登録された除草剤はSU抵抗性雑草にも高い効果が期待できます。平成28年度は全道36カ所で、その効果を確認しました。
(1)試験方法
試験に用いた薬剤(表1)
①アッパレZフロアブル(1キロ粒剤・ジャンボ)
②クサビフロアブル
③ボデーガード豆つぶ250
対照薬剤:メガゼータ・バッチリなど農家慣行薬剤
(2)試験結果
各薬剤ともホタルイ、ミズアオイ、オモダカなど幅広い草種に安定した効果が認められました。対照薬剤との比較では、全ての試験で同等以上の効果が認められ、高い実用性が確認されました。
また、テフリルトリオンを含むフロアブル製剤で心配されるような茎葉の付着薬害は、ボデーガード豆つぶ剤ではみられず、散布作業の省力性と併せ、安全性の高さが確認できました。
2.アブラナ科野菜チョウ目害虫に対する効果確認
アブラナ科野菜は、コナガなど各種チョウ目害虫に対する防除が必要です。また、チョウ目害虫は薬剤抵抗性が発達しやすいことから、効果が高い薬剤のローテション防除が重要です。
新たなジアミド系有効成分(シアントラニリプロール)は、幅広い殺虫スペクトラムに加え、根からの吸収移行性と長い残効性を併せ持っています。野菜や水稲場面を中心にさまざまな薬剤が登録されています。平成28年度はブロッコリー・キャベツにおいて、全道11カ所でそれらの新規殺虫剤の効果を確認しました。
(1)試験方法
試験に用いた薬剤(表2)
①ベネビアOD(生育期茎葉散布処理)
②ベリマークSC(育苗期セルトレイ灌注処理)
対照薬剤:プレバソン・ハチハチなど農家慣行薬剤
(2)試験結果(表2 供試薬剤の判定結果)
各薬剤ともコナガなど各種チョウ目害虫に対し高い効果が認められました。対照薬剤との比較でも、効果が確認できた全ての試験区で同等以上でした。薬害の発生もみられず、普及性が高いことがわかりました。
また、ベリマークSCのセルトレイ灌注処理を実施された方からは、「粒剤を散布するのに比べると、作業しやすい」との感想をいただきました。