この記事は2024年8月5日に掲載された情報となります。
ホクレン 米穀部 米穀総合課
良質米の生産と環境負荷軽減に向け、稲わらの搬出・秋すき込みを励行しています。今回は、昨年の収穫期、天候不良が続いた中でも取り組まれた全道10カ所の状況と工夫の数々を1冊の事例集にまとめ、全道の生産者へWeb等で発信します。ぜひ、今後の作業にお役立てください。
稲わらの搬出・秋すき込みは温室効果ガス削減に有効
「みどりの食料システム戦略」に基づき、北海道米の新たな付加価値を創造するため、ホクレン米穀部では、生産者、JA、関係機関と連携し、温室効果ガス(メタン)を削減する稲わらの搬出・秋すき込みを励行しています。
春すき込みと比較すると、搬出の場合76%、秋すき込みの場合35%温室効果ガスを削減できることが分かっています(図1)。
秋すき込みのメリット
春すき込みについては、土壌還元等による生育への悪影響が懸念されているほか、春まで圃場表面に稲わらを放置すると圃場の乾きを妨げてしまうという問題があります。
一方で、秋すき込みには次のようなメリットがあります。
- 春すき込みより稲わらの分解を進めることができる
- 乾田化対策を講じた圃場で秋すき込みを行うことで、土壌還元(ワキ)の軽減につながり、根圏域を健全化できる
- 乾田化により地力窒素が発現し、これに稲わらの秋すき込みを実施することにより、施肥窒素の低減につなげることも可能
コープさっぽろで商品化
稲わらの搬出・秋すき込みに取り組んだ生産者のお米のみを使用した商品を、コープさっぽろの宅配で、7月第3週に販売しました(写真2)。
対象商品にはPRするシールを貼付し、消費者へ環境負荷軽減への取り組みを積極的に発信しています。
ノウハウ集を参考に稲わらの搬出・秋すき込みに取り組みましょう!
2021年産「ゆめぴりか」生産者への調査では、搬出は5%、秋すき込みは46%と、合計51%の実施率でした。
2022年産では、搬出・秋すき込み合わせて70%の目標実施率を定め、実際の実施率は69%となりました。2023年産の実施率は71%と目標の80%には未達でしたが、気象条件が厳しいなかでも前年度より増加しました。
今後は更なる温室効果ガス削減を目指し、2024年産は90%と目標を定めました。ノウハウ集を参考に、ぜひ搬出・秋すき込みを進めていきましょう。