覚えておくと役に立つノウハウを伝授

力仕事の「コツ」を引っ越しのプロに聞きました!

キーワード:プロのノウハウ力仕事
日本通運
日本通運では、各職場で毎朝「日通体操」を実践。ドライバーは朝礼時に2種類の体操で全身を動かし、作業の注意点など安全確認をしてから出発します。
この記事は2017年4月1日に掲載された情報となります。

 

力仕事で腰を痛めた経験はありませんか?いきなり忙しくなる春は、ケガや事故が増える季節。トラブルを回避する作業の方法を、荷扱いのプロフェッショナルに教えてもらいました。

 

利根川さん

日通札幌流通サービス株式会社
引っ越し指導教官
利根川 肇さん

「体が慣れるまで、特に動き始めは慎重に作業したほうがいい」と話します。

 

毎日の準備体操を実践

 作業が目白押しの春、どうすれば体を痛めることなく、繁忙期を乗り切ることができるのでしょう。荷物の運搬にかけてはプロ中のプロ、日本通運の引っ越し部門でスタッフの指導教官をしている利根川肇さんにノウハウをお聞きしました。

「体を動かす前は、やはり準備体操が欠かせません。日通では毎日、朝礼時に全員で体操を実践しています」

これは「日通体操」と名づけられたオリジナルの体操。独自の音楽にあわせ全身運動をすることで、柔軟性を高め筋肉を強化します。健康を保つのはもちろん、労災事故を防ぎ、仕事の効率を高めるのがねらいだそうです。

準備体操の必要性と同時に利根川さんがスタッフに伝えているのは、決してムリをしないこと。「たとえば箱をいくつも積み重ねて運ぶのは、効率が良くても正面が目視できないから危険」と戒めます。効率を優先するあまりケガをするようなら本末転倒。「力のある人ほど過信しがちですが、安全最優先で作業してほしい」と強調します。

そのためには「このくらい持てるはず」「きっと大丈夫だろう」という思い込みを捨てること。日通では「KY活動」として、危険(K)を予知(Y)するトレーニングも行っているそうです。

 

腰にかかる負担を減らすには?

「荷物の重心と体の重心を極力近づけるのがコツです」

 

では、実際に苗や肥料を運ぶ力仕事のとき、体に負担をかけないコツはあるのでしょうか?利根川さんに聞いてみます。

「一番悪いのは、いわゆる中腰の姿勢です。特に腰を曲げ、手を伸ばして荷物を持ち上げようとする体勢は、腰にかかる負担が大きい。建築用の大きなデリッククレーンとかたちが似ているので、我々は『デリック式』と呼んでいますが、できるだけ避けるように指導します」

なるほど、腰を支点にする動きは良くないんですね。

「持ち手の位置にも注意が必要です。ダンボールなどの場合、箱の下を両手で支えて持ち上げてしまいがちですが、これはダメ。箱の中身の重心が真ん中にあるとは限らないので、不安定になり落としてしまう危険性があるからです」

 

NG例
前屈みの姿勢で、荷物を持ち上げる「デリック式」は腰に負担が大きい。両手とも荷物の下にかけてしまうと不安定になり、落としてしまう危険性があります。

 

では、どう持てばいいのでしょう。

「上下対角に手をかけるのが正解です。箱の四隅のうち、体から遠い側の上の角を利き手で押さえ、その手で荷物を体と反対側へ傾け、手前側の下の角に反対の手を入れて、持ち上げるのが基本。なるべく体に密着させ、おなかまで引きつけて立ち上がります」

荷物を持ち上げるときの体勢は「膝掛け式」が理想的です。

「片膝を床に付き、なるべく荷物を体に密着させてから膝を伸ばして持ち上げます。荷物を床に下ろすときも同様。片膝をついて下ろすと腰に負担をかけません」

荷物の持ち運びのコツは「大きなものでも小さなものでも、荷物の重心と自分の体の重心を極力近づけることがポイント」と利根川さん。「皆さん、経験的に分かっていて、知らず知らずにやっていることだと思いますが、意識的に気をつけるだけで、体にかかる負担はかなり軽減できると思います」とアドバイスしてくれました。

 

基本の持ち方
荷物にかける手の位置は上下対角が基本。体から離れているほうの上側の角を利き手でつかみ、反対の手で対角の下側を支えて持ち上げます。

 

 

腰を痛めない運搬方法●

体に負担が少ない「膝掛け式」の運び方です。

 

運搬方法1
利き手で荷物の上側の奥の角を持ち、反対の手で対角線上の下側の角を支え、持ち上げます。膝を曲げて背筋を伸ばした体勢がベスト。

 

運搬方法2
荷物を持ち上げ、体に密着させます。ダンボールの重心を体の重心(へそのあたり)に近づけて運ぶのが負担の少ない方法です。

 

運搬方法3
曲げた膝を伸ばしてまっすぐ立ち上がります。荷物を床に置くときも、中腰にならず、片膝をついて下ろすと、腰を痛めません。