農業経営の基礎講座 Lesson01

営農計画を立てる前の比較・検証が重要!

キーワード:農業経営

営農計画を立てる前の比較・検証が重要!

 

この記事は2018年12月1日に掲載された情報となります。

 

毎年、作成する営農計画。おおざっぱに「去年と同じでいい」と考えるのはもったいない。

計画を立てる前に今年の実績を確認し、検証しましょう。数字には経営を改善するヒントがたくさん隠れています。

 

高柳 泰斗さん

北海道農業協同組合中央会
営農指導支援センター
営農指導課 高柳 泰斗さん

「変化は数字に表れます」

 

経営者マインドをさらに磨こう

 「農業者の多くはクミカン制度を利用していますが、その前提になるのが営農計画です。これは一般企業が銀行に事業計画を出し、承認を受けて資金を融資してもらうのと同じこと。企業経営者が運転資金を調達するようなものです」

こう説明するのはJA北海道中央会で営農指導を担当する高柳泰斗さん。近年は営農計画の重要性が増していると言います。

「大規模化が進んだ現在の農業経営では、土地や機械への大型投資や外部の労働力確保など、以前に比べ経営リスクが高まっています。農業者は、農業経営が安定的、かつ持続的に発展していくため、より経営者マインドを磨くことが求められています。そして、成功の秘訣はしっかりした『計画』にあります」

旧態依然のまま「去年と同じでいい」「最後に帳尻があえばいい」と考えていると、気付いたら収益が縮小という危険性もあります。

 

計画だけで終わらせない

「数字に強く、技術に明るい。優れた農業経営者には二つの能力が求められる」と言う高柳さん。「変化は数字に表れる」と話します。

たとえば農薬代が増えている場合、その原因は何か考えることが大切です。畑が変わったのに土壌診断せず例年通りの肥料を与えたことで、軟弱徒長気味で病気が増え、その結果、農薬代がかさんだのかもしれません。

「毎月のクミカン報告書を確認し、計画と実績を比べてみる。ズレが生じているなら、日々の営農を思い出し、何が原因かつきとめる。そして改善できることから取り組んでみる。PDCAのマネジメントサイクル(図1)を回し続けることが重要です」

確かに営農計画作成は大変ですが「一年を振り返ってじっくり検証し、家族や構成員の方とも話し合いながら、前向きに計画をつくってほしい」と高柳さん。「来年はこれに挑戦しよう」「あれを試そう」と考えると、日々の営農が楽しくなる計画を立てられるかもしれません。

 

図1.マネジメントサイクル
図1.マネジメントサイクル
❶営農計画を作成
→❷計画に沿って営農
→❸毎月のクミカン報告書で進捗を管理し、実績値を把握
→❹計画とズレている場合は、課題を明確化して改善を図る。

 

Lesson01まとめ

●前年度の計画と実績を比較・検証し計画を立てる
●ズレが生じた要因を整理して、改善策を講じる
●計画は家族や構成員と協議し、内容を共有する