ホクレン農業協同組合連合会
代表理事副会長 伊藤 政光さん
この記事は2016年12月1日に掲載された情報となります。
私が就農したのは昭和42年。まだ農耕馬を使っていました。5年後、地域の農家十数戸が共同で小さなトラクターを購入しましたが、将来、自分でトラクターを持てるようになるなんて、当時は思ってもみませんでしたね。
機械のおかげで生産力が高まり、経営規模も拡大。品種改良や土地改良も進み、このさき多少の自然災害などがあったとしても大きな打撃を受けることはないだろうと考えていましたが、今年の台風ではあらためて自然の威力を思い知らされました。
私の牧場のある新得町では、鉄道が開通して100年以上経ちますが、鉄橋が2つ落ちたのは初めてのことです。河川が氾濫し、断水が2週間以上続きました。
市街地には自衛隊の給水車が出動しましたが、組合員のところへは農協が中心となって生乳のタンクローリーなどを使い、水を運び続けました。隣の清水町はもっと被害が大きく、ほ場のみならず牛舎や施設まで流された牧場もあり、茫然とする生産者を、ただ励ますことしかできませんでした。
オホーツクの常呂川周辺も回りましたが、畑が水没して今年の収穫は皆無という方もいらっしゃいました。我々生産者は収穫の喜びが体に染みこんでいますから、作物が収穫目前で失われたとなると、どれほど大きな衝撃でしょう。
どうか、この辛さに負けず、ともに頑張って乗り越えましょう。もちろん、こういうときこそ組織がしっかり支援しなければならないと各農協も奮起しています。ホクレンも、さしあたってやらなければいけないことと、時間とお金がかかってもやるべきことを整理しながら、生活に必要なことから急いで対応していくつもりです。
困難なときに踏ん張れるかどうか。今こそ助け合い、協同の精神が求められています。