あの人のVIEW POINT

汗をかき、知恵を絞って、力を合わせる

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汗をかき、知恵を絞って、力を合わせる

北海道指導農業士協会
会長  藤永 康夫さん

 

Profile:1958(昭和33)年、湧別町生まれ。6歳のときに一家で新篠津村に移住し、稲作を始める。岩見沢農業高校を卒業後、実家に就農。新篠津村生産振興会や石狩地区高級ブランド米創出協議会などの要職を務める。北海道指導農業士には2005(平成17)年に認定され、今年から現職。耕地面積は30ha。米を主軸に大豆・小豆・麦のほか、加工備蓄米・飼料米も生産。(地域の保育所にて子どもたちと撮影)

 

私の父の代のときに新篠津村に入り、農業を始めてもう40年以上になりますが、番強く思うことは「農業は形に見えないものを大切にする、地域体となった営みである」ということ。

私が本格的に農業を始めた当初は冷害や初期投資の借金に苦しみましたが、青年団をはじめ地域の皆さんとつながったおかげで、なんとか今日を迎えることができました。

昔の新篠津村はお世辞にも米づくりに適した土地とは言えず、7人の仲間で私費を投じて客土を入れる土地改良に取り組んだこともありました。

「ダメだと思われているものも磨けば光る」の精神で土づくりを続け、じきに村全体が食味向上を目的とした客土に取り組むことになったときは本当にうれしかった。

その後、従来の北海道米のイメージを掃する高品質の「ゆめぴりか」が誕生し、道内の米農家全体が活気づいたことは、皆さんご存じのとおりです。

元号改正を含め時代の転換期にあるなかで、農業に携わる我々はより層仲間やネットワークを大切にし、時代の潮目を読むことが求められます。

以前、北海道青年農業者会議に出席したときに「自分の仲間が同じ青空の下で頑張っていると思うと力がわいてくる」という発表を聞いて、思わず目頭が熱くなりました。

これからの時代を生き残るためにも、汗をかく、知恵を絞る、力を合わせる。そうやって、自分たちのまちを守っていってほしいと思います。

生産者として個人的な目標は、いつか新篠津で牛を飼ってみたいです。客土のときもそうでしたが、他の人がやっていないことに挑戦するのが好きな性分なんです。地域の子どもたちと緒に牛を育てたら、絶対楽しいと思うんだよなあ。