あの人のVIEW POINT

次の世代へつなげることが、私たちの使命。

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次の世代へつなげることが、私たちの使命。

 

JA北海道女性協議会
会長 青山 伸子さん

 

Profile:1956(昭和31)年、苫小牧市生まれ。看護師として働いていたが、洞爺湖町月浦で農業を営む晴重さんと結婚して農業に携わるようになる。長男・長女はすでに独立、現在は次男の和弘さんが就農し、平日は家族3人、週末はお嫁さんも加わって、野菜から豆類、果樹まで多品目の栽培を行っている。JAとうや湖女性部部長、日胆地区女性部会長、JA北海道女性協議会副会長を経て、今年4月より現職。(洞爺湖町の青山農園にて撮影)

 

この記事は2017年12月1日に掲載された情報となります。

 

うちの畑は映画『しあわせのパン』の舞台になった洞爺湖の月浦という地域にあり、湖が一望できる景色のいいところです。

今はアスパラやスイートコーンなどの野菜、大福豆や大納言などの豆類、サクランボなどの果樹をつくっていますが、主人と結婚して間もない昭和52年、有珠山の噴火で収穫前の作物が一晩のうちに灰の下になったことがありました。雨も降ったので、灰の重みで木がボキンボキンと折れる音が聞こえるんです。朝起きたら一面が灰色。もちろん、その年の収穫はひとつもありませんでした。

その後、夫の両親と一緒に水田を除灰、畑はブルドーザーで撹拌して作付けを再開しましたが、土を起こすたびに灰が筋になって出てくる。傾斜地なので雨が降ると灰が流れて溝ができる。農業はもう続けられないんじゃないかと思うほどでしたが、私たちに限らず、そうした苦難を幾度となく乗り越えてきたのが農家なのだと思います。

女性部も同じです。私が入ったときはまだ「婦人部」という名称でしたが、先輩方は農作業のほかに家事や子育てをこなし、家族に気を使いながら組織づくりに奔走したはずです。

家族に話せないことを打ち明けたり、励まし合う仲間が必要だったからでしょう。だから、途切れさせてしまったら申し訳ない。フレッシュミズの会員を増やし、ミドル、エルダーと続けてもらえるようにしたいのです。

私が結婚した当時、農家の息子にも嫁にも給料はありませんでした。最近は家族であっても労働の対価を得るのが当たり前になってきましたが、こうした変化も仲間を集め、みんなで声をあげて勝ち取ってきた成果。働きやすい環境と仲間で支え合う喜びを、次の世代へつなげるのが私たちの役目だと考えています。