
JA上青協 参与 成田 真市さん( JA上川中央)(左):稲作を中心に畑で大豆、ハウスでアスパラガス、小ねぎを栽培。40歳。愛別町在住。※役職は取材時(2025年2月)のものになります。
この記事は2025年4月1日に掲載された情報となります。
JA上川地区青年部協議会
約700人の盟友がいるJA上川地区青年部協議会(通称:JA上青協(じょうせいきょう))。仲間と共に地域の農業を担う青年部の運営について、前会長で現参与の成田真市さんと、副会長の辰巳裕亮さんにお聞きしました。
青年部の活動を価値あるものに
—活動内容を教えてください。
辰巳:地区大会、道外視察研修、女性部との合同事業が年間の三大事業です。他には2カ月に1回、13JA青年部の部長会議があって、それに合わせて「上青協大学」という勉強会を開催。盟友は誰でも参加できるのが特徴です。
成田:上青協大学では少人数のグループワークも取り入れています。
私自身、人前で話すのが苦手だった経験を生かし、皆が発言しやすい雰囲気づくりを意識しています。
辰巳:昔の協議会はサークルの飲み会みたいなノリで、僕はちょっと敬遠してたんです。
でも、尊敬する先輩が自ら会長になって協議会をもっといい組織にしていこうとする姿を見て、僕もやらなきゃな、と。
成田:昔は発言すれば次の役員として白羽の矢が立って貧乏くじを引くから、だんだん発言も少なくなっていって…。
それじゃ協議会の意味がないですよね。今は全く違っていて、皆で地域を良くしていこうという熱意があって積極的です。
辰巳:部長会議は勉強会も挟むから13時から17時までと長い。
冬ならまだしも忙しい時期に貴重な時間を割くわけだから「来て良かったと思えるような価値を届けたい」と思っています。
成田:我々の協議会は、懇親会も大事にしています。席はランダムに決めるので、特定のメンバーで固まったりしません。
私自身、飲まないけど、酒を飲まなくても知らない人と話が弾むのは、勉強会の話題などで情報交換ができるからだと思う。
辰巳:「下の世代が少ない」とか共有している問題意識は同じ。みんな時間をムダにできないと感じているんじゃないかな。
協議会の役員で栽培試験も実施
—畑作物の収益向上に向けた試験にも取り組んでいるそうですね。
成田:大豆で3人、小麦で1人が試験しました。
私は大豆の開花期追肥試験をしましたが、効果は絶大で、農道から見ても試験区の出来の違いが分かるほど。
上青協大学で報告して、各部長から盟友へ広げたいと思っています。
辰巳:僕は大豆の狭畦栽培を試しました。カルチなしの省力栽培技術で収量が落ちないか心配でしたが、従来と大きな差はなし。
上青協大学で発表すると質問が多くて、こうした技術の共有が地域の農業を底上げしてくれると感じています。

出会いとつながりを大切に
—青年部の仲間に助けられた経験はありますか?
成田:防除中にビークルのホースがパンクしたとき、連休中で修理に時間がかかると言われたんです。
それを水稲研究会のグループラインで話したら、辰巳くんが「持ってきますよ」って上川から愛別までビークルを運んでくれた。
ピンチのときに助けてもらえるのも日頃の青年部活動のおかげかなと。
辰巳:僕も、春の大雪でハウスが潰れたとき、「手伝いに行くから」と成田さんが電話をくれて来てくれた。
今はSNSでもつながれるけど、リアルで会っているからこその関係ってありますよね。
—仲間を広げる工夫は?
辰巳:一昨年、道外視察研修にて熊本の阿蘇青壮年部と交流させてもらいました。
いま東旭川でさつまいも栽培をしていることもあり、互いに意気投合し今年一緒に中央要請に行くことになりました。
地域性は全く違いますが、日本の両端で食を支える担い手としての意識をひとつに、北海道と九州選出の国会議員を訪ねて意見交換させていただく予定です。

成田:青年部の組織綱領に「多くの出会いから生まれる新たな可能性を原動力に、自己を高める」というのがあるんです。
自分は土地改良区の理事でもあるし、消防団やPTAなど地域の集まりにも参加するようにしています。
農業って自分㆒人の力でやってるわけではなくて、いろんな人の助けがあって成り立っていると思うんですよ。
辰巳:僕は上川で起業家育成セミナーに参加して、異業種のつながりができたことも有意義でした。
成田:以前、ある組合長の講演で「口に出したことは実現する」という言葉が胸に響いたので、上青協でも常に思いついたことを口に出していこうと思っています。
