03肥料の働き

肥料を上手に使うにはどうすればいいの?

キーワード:BB肥料リン酸肥料石灰質肥料肥料肥料コスト削減苦土タンカル入り複合肥料
この記事は2025年2月3日に掲載された情報となります。

ホクレン-肥料農薬部技術普及課吉岡哲也技師

ホクレン
肥料農薬部 技術普及課
吉岡 哲也 技師

 

肥料をムダにせず効率的に使うにはどうすればいいのでしょう。成分の働きや作用を理解すれば、より活用できそうです。

 

Q.なぜ肥料が必要なの?

 

A.土壌中で不足する養分を補うためです。

 

作物が育つために必要な条件はいくつかあります。適切な温度はもちろん、光合成には十分な光や炭酸ガスが必要ですし、土壌中には適切な水分や十分な酸素、また「適度な養分」が必要です。

肥料の役割は、作物が吸収する養分のうち、土壌中で不足している養分を補うことです。これを式で表すと図4のようになります。

 

図4肥料の役割を表す式
図4.肥料の役割を表す式

 

図5水稲の窒素吸収経過と吸収窒素の由来内訳
図5.水稲の窒素吸収経過と吸収窒素の由来内訳(土づくりQ&A第二編~平成24年)
稲が必要とする養分(窒素)のうち、土から吸収されるのは緑色の部分。足りない赤色の部分を肥料で補充します。

 

Q.肥料3要素の役目とは?

 

A.NPKそれぞれの働きがあります。

 

作物の養分の中で、水や大気中から取り入れることができるもの(水素・酸素・炭素)を除き、多くの量を必要とするもの(=多量要素)としては、窒素、リン酸、カリ、カルシウム、硫黄、マグネシウムが挙げられますが、このうち窒素・リン酸・カリは肥料3要素と呼ばれ、作物生産にとって重要な養分です(図7)。

 

図6水稲の3要素試験
図6.水稲の3要素試験
鯨 幸夫ほか「コシヒカリの三要素試験区における20年目の生育と根系生育 日本作物学会記事 72巻,別号2,p8-9」を改変

 

  • 水稲で肥料の3要素の影響を調べたグラフです。窒素を与えない区は収量が大きく低下するのに対し、リンやカリを与えなくても、無窒素に比べると、収量に対する影響は大きくはありません。

 

図7肥料の3要素の特徴
図7.肥料の3要素の特徴

 

Q.上手な施肥の方法とは?

 

A.必要な時期に、吸収しやすい方法で供給すること。

 

作物に対する施肥法の基本的な考えは、次の2点です。

①作物が必要とする時期に合わせて供給する

年間分の肥料を1回で施用する「基肥全量施肥」は省力的ですが、局所的な多量施肥(作条施肥など)は濃度障害の恐れがあるほか、溶脱・揮散などで施肥効率低下や、環境負荷が大きくなる恐れがあります。

肥料の標準量に上乗せする「追肥」、標準量を2回以上に分けて施肥する「分肥」は、基肥全量施肥に比べると施肥効率は向上しますが、作業労力は増加します。

②作物が吸収しやすい方法に合わせて供給する

全層施肥、作条(水稲では側条)施肥、苗箱施肥、葉面散布などの方法があります。種や根に近いほど施肥効率は高くなりますが、濃度障害の恐れもあります。肥効の発現や持続性を考えた施肥が大切です。

 

図8作物の養分吸収型の違い
図8.作物の養分吸収型の違い

 

  • 養分吸収の仕方は作物によって違います。必要な時期に合わせた供給がポイントです。

 

表1施肥位置の例
表1.施肥位置の例

 

  • 施肥位置によっても肥効は違います。

 

Q.肥料の効く速さに違いはある?

 

A.ゆっくり効く成分と速く効く成分があります。

 

作物の養分の中で、水や大気中から取り入れることができるもの(水素・酸素・炭素)を除き、多くの量を必要とするもの(=多量要素)としては、窒素、リン酸、カリ、カルシウム、硫黄、マグネシウムが挙げられますが、このうち窒素・リン酸・カリは肥料3要素と呼ばれ、作物生産にとって重要な養分です(図7)。

 

  • 成分の特性を知ることも大切です!