02肥料の種類

代表的な肥料の種類にはどんなものがあるの?

キーワード:BB肥料リン酸肥料石灰質肥料肥料肥料コスト削減苦土タンカル入り複合肥料
この記事は2025年2月3日に掲載された情報となります。

ホクレン-肥料農薬部肥料課水田卓志課長補佐

ホクレン肥料農薬部 肥料課
水田 卓志 課長補佐

 

肥料は、法律や含まれる成分、形状などによって、さまざまな分類方法がありますが、ここでは一般的な分け方についてご紹介します。

 

Q.肥料にはどんなものがありますか?

 

A.化学肥料と土づくり資材に大別されます。

 

大きく分けると、植物の生育に直結する化学肥料と、生育の環境を整える土づくり資材の二つに分かれます。

化学肥料には単肥と複合肥料があり、さらに複合肥料には化成肥料、BB肥料、液肥、葉面散布剤などがあります。

このうち化成肥料とBB肥料の違いは後で、詳しく説明します。残りの液肥と葉面散布剤はどちらも液状の肥料で作物に吸われやすいのが特徴です。

これら液状肥料には窒素・リン酸・カリの他に微量要素を含んだものや、近年ではB‌S資材※もあります。

㆒方、生育の環境を整える土づくり資材の代表的なものは石灰質資材と有機質肥料です。

石灰質資材(カルシウム)は主として土壌、酸度矯正を目的としたアルカリ分を保証する資材のこと。炭酸カルシウム、消石灰などがあります。

作物が健全に育つのは、作物によって違いはあるものの、概ねpH5.5〜6.5程度ですが、土壌は徐々に酸性に傾いていくので石灰質を入れて中和を促します。

もうひとつ、有機質肥料には魚粉類、骨粉類、菜種かすや大豆などがあります。㆒般的に化学肥料(無機肥料)と比較して、肥料の効き方は緩効性のものが多く、地力を高めたり、生育期間の長い作物で、生育後半に効かす肥料として使われます。また、堆肥などは土壌の団粒構造形成の促進にも使用されます。

※BS資材(バイオスティミュラント資材):高温や低温、干ばつなどの非生物的ストレスを軽減し、減収を抑える資材。

 

図3肥料の種類
図3.肥料の種類

 

  • 肥料の種類や特性を知ることでコストを下げて、効果を出せるから、しっかり覚えましょう。

 

Q.BB肥料と化成肥料の肥効は違うの?

 

A.肥効はどちらも変わりません。

 

化成肥料は肥料原料を配合したのち熱を加えるなど、化学的な反応を利用して造粒した肥料です。1粒中に窒素・リン酸・カリのうち2成分以上が含まれています。

㆒方、BB肥料(バルク・ブレンディング《BulkBlending》肥料)は2種類以上の粒状原料を物理的に混合したものなので、肥料原料の色合いにより、さまざまな色調のものがあります。

化成肥料、BB肥料ともに、ふるい網を用いて粒径を揃えています(系統肥料の場合、95%以上が1〜4㎜が品質基準)。

現在、出荷量の割合が多いのはBB肥料です。造粒の工程がなく比較的少ないロットで製造できるので、土壌分析診断の結果などをもとに、より作物や地域にあった肥料を設計製造できます。粒の比重の違いでムラになるイメージがありますが、生育に影響はないとの試験結果が出ていますので、安心してお使いください。

 

化成肥料
化成肥料
肥料ひと粒ひと粒の中に、窒素・リン酸・カリの3要素のうち2成分以上を含みます。複数の原料を粉砕してから化学的操作で造粒します。BB肥料はさまざまな原料の色が混じるのに対し、化成肥料は単色です。

 

BB肥料
BB肥料
2種類以上の粒状肥料原料を均一に混ぜ合わせて製品にしたもの。造粒・乾燥の工程がないため低コストで製造でき、同じ成分の化成肥料に比べて低価格です。

 

Q.単肥って、どんなもの?

 

A.肥料3要素のうち1成分のみを含む肥料です。

 

複合肥料等に用いられる原料であり、窒素・リン酸・カリの3大要素のうち1成分のみを含む肥料を「単肥」と言います。

 

単肥ってどんなもの

 

  • 同じ成分を含む単肥でも種類が違っています
    3大要素の同じ成分を含む単肥でも、いくつかの種類があります。例えば窒素質の場合、硫安(硫酸アンモニウム)、尿素、硝酸カルシウムなどがあります。施肥したい窒素量や目的に応じて使い分けますが、尿素は中性なので圃場を酸性化しにくかったり、硝酸カルシウムは速効性であることや水溶性カルシウムを含んでいたりと、それぞれ特徴があります。