この記事は2024年12月2日に掲載された情報となります。
JAきたみらいは玉ねぎ生産量が日本一。全道の玉ねぎ生産の約4割を占めます。なかでも注目を集めているのは環境保全型玉ねぎ「環」。取り扱いを伸ばしています。
J−クレジットをつくる
JAきたみらい 販売企画部
玉ねぎグループ・馬鈴しょグループ
調査役 須河 秋久さん
環境配慮を切り口に農作物を差別化
北見市特別栽培部会では、圃場への木炭の施用が土壌改良だけではなく、温室効果ガスの隔離に有効だということで、2010年から木炭の施用を始めました。
その後J−クレジット制度で「バイオ炭の農地施用」が方法論として承認されたことから、2022年秋からバイオ炭(写真1・2)に切り替え、J−クレジットの創出に取り組んでいます。
農作物の「安心・安全」が浸透していく中で、更なる差別化を図ろうと、ホクレン園芸開発課の協力を得て開発したのが「環(めぐる)」ブランドです。
おかげさまで東海コープさんのような安定した供給先が確保できました。生産者側も自分たちのつくる玉ねぎが求められている実感を持てるので、生産意欲の向上につながっています。
JAきたみらいでは今、北見市特別栽培部会以外の部会でも試験的にバイオ炭の施用が始まっています。今後、「環」のような環境保全型商品が増えていけば、小売店でも「環境配慮の農作物コーナー」が設けられるようになるかもしれません。
今はまだ認知度の低いJ−クレジット制度ですが、SDGsがすっかり定着したように、今後、社会に広まっていくと思います。
J−クレジットをサポート
ホクレン 農産事業本部 種苗園芸部
園芸開発課
課長補佐 北村 誓啓
環境配慮の取り組みをブランド化
北見市特別栽培部会で木炭のすき込みやカーボンオフセットに取り組んでいることを知り、ブランド化して商品価値を高めようと、JAきたみらいさんとタッグを組んでつくったのが、環境配慮型玉ねぎ「環」です。その意義を理解してくださる販売先として、生協を中心にパートナーを探してきました。
当初は圃場への木炭の施用とカーボンオフセットを強調していましたが、J−クレジット制度ができたことからブランドをリニューアル(写真3)。木炭をバイオ炭に切り替え、2023年からはJ−クレジットの創出側として登録し、更なる環境価値を高めています。
今後は、産地での環境配慮の取り組みや成果をより多くの消費者に伝え、食の循環を支える意識に結び付けられるよう取り組みを強化していきたいと考えています。
J−クレジットを買う・使う
生活協同組合連合会東海コープ事業連合
商品事業本部 農産商品部 野菜課
課長 酒井 満さん
宅配で価値を広める「環」
東海コープでは2019年からホクレンの「環」を取り扱い、岐阜・愛知・三重の3県における宅配事業で供給しています。パッケージ1点ごとに1円を積み立て、それを原資にクレジットを購入。「環」の輸送で排出するCO2をオフセットする仕組みにしました。
こうした内容を店頭で説明するのは難しいので、商品をじっくり吟味できる宅配ならではの取り組みといえるかもしれません。J−クレジット制度を組合員に説明できるよう、配達担当者を対象にした学習会も開催しています。毎回ホクレンさんが講師として来てくれるので助かっています。
「環」の取り扱いを始めてから6年目ですが、利用件数、利用金額ともに右上がりです。これからは環境に対する意識の高い方だけではなく、より広く浸透させていく必要があるでしょう。地道に取り組んでいきたいと思います。