高品質な「ゆめぴりか」生産へ

PART2【下】:稲わら搬出・秋すき込みしやすい
「乾いた圃場づくり」に向けて

キーワード:メタンガスゆめぴりか搬出環境秋すき込み
乾いたほ場
乾いた圃場

 

この記事は2023年8月10日に掲載された情報となります。

北海道農政部 生産振興局技術普及課 主査 上田 朋法さん

 

タイプ別圃場管理を把握しましょう

効果的に秋すき込みを行うためにも、自分の圃場の特性を理解することは大切です。まずは圃場の問題点を把握するところから始めましょう。例えば、稲の根張りの状態や圃場の地下水位の高さを確認したことはあるでしょうか? 圃場の透排水性を確認した上で、下のチャートを使って対策を検討してみましょう。

あなたの圃場の状態は?
図1.あなたの圃場の状態は?
該当する方向に進んで対策を確認しましょう。(上川中央地区農業改良推進協議会 水田の品質・収量安定生産のための排水改善プロジェクトから引用)

●排水良好型:更なる品質向上を目指し、稲わらの搬出(写真1)・秋すき込み(写真2)を積極的に実施しましょう。

稲わらの搬出
写真1.稲わらの搬出 ※一般社団法人北海道農産協会資料より引用
秋すき込み
写真2.秋すき込み

●表面排水不良型:表面排水が悪く、機械の排水が劣っている状態。初期生育が劣り、収量が不安定にならないように、溝切りにより表面停滞水を除去後、心土破砕を行って排水を促しましょう。

●地下排水不良型A:圃場表面は乾いているように見えても、30cm前後の深さで地下水が存在しています。根張りが悪いため、初期生育が不良になりやすいところが問題です。暗きょが機能しているか、確認しましょう(写真3)。もみ殻を心土破砕した溝に入れる「もみ殻心土破砕」も効果的です。

暗きょでの管内土砂堆積状況
写真3.暗きょでの管内土砂堆積状況

 

●地下排水不良型B:表面・地下水ともに悪い状態です。溝切り(写真4)・心土破砕(写真5)を実施しましょう。溝切りにより表面停滞水を除去し、圃場表面の乾燥を促進してください。心土破砕を行うことが可能な場合は、もみ殻を心土破砕した溝に入れる「もみ殻心土破砕」も効果的です。

溝切り融雪後の圃場
写真4.溝切りした圃場の融雪後の様子

 

心土破砕
写真5.心土破砕

余裕ある春作業を目指して、まずはできることから
どの作業も毎年継続することで、圃場条件の改善につながります。
まずは圃場1枚だけでも試してみましょう。
圃場の特性や状態をしっかりと観察・理解するところから始めてください。

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