2022年のポイント!
1 昨年の結果を振り返り、圃場ごとに施肥設計を
2 溝切りや排水対策など、圃場づくりをしっかりと
3 育苗日数の短期化に合わせ、作業計画の見直しを
4 白未熟粒や胴割粒を防ぐ水管理と慎重な乾燥調製を
5 【新技術】高密度播種短期育苗の導入可能エリアが明らかに
この記事は2022年4月1日に掲載された情報となります。
北海道農政部 生産振興局
技術普及課 主査
内田 博康さん
ポイント1
昨年の結果を振り返り、圃場ごとに施肥設計を
圃場一枚ごとに昨年の生育・収量・品質(精米タンパク含有率)をチェックして、栽培技術を点検しましょう。肥料についても、それぞれの圃場の乾燥程度や土壌診断に基づいた施肥設計をしてください。
ポイント2
溝切りや排水対策など、圃場づくりをしっかりと
春先のスタートが出来秋を左右します。毎年変わらない基本的なことですが、畦の嵩(かさ)上げや、排水対策(溝切り、心土破砕)など、圃場づくりに入念に取り組んでください。そのためにも融雪材(ケイ酸質資材)の施用などで融雪を早め、圃場の乾燥を促進しましょう。
ポイント3
育苗日数の短期化に合わせ、作業計画の見直しを
近年は育苗期間の気温が高く、早期異常出穂の危険性が高まっています。苗の老化防止に重要なのは、育苗後半の温度管理と適正葉数での移植です。「2.5葉期以降は25℃以上にしない」という基本技術を守り、ハウスの温度を上げすぎないよう注意してください(表1)。
成苗ポットでの育苗日数はこれまで30〜35日が目安とされてきましたが、3.6葉の目標葉数に達するまで「ゆめぴりか」は27日、「ななつぼし」は28日とそれぞれ短期化しています。移植日から逆算して播種日、催芽日、浸種日などの作業計画を設定し直しましょう。
中苗箱マットに関しても、近年の育苗期間の高温を加味して日数を短縮することをおすすめします(表2)。ただし、育苗期間の気温は年によって変動するため、それぞれの品種の目標葉数の範囲を遵守し、根域の強度を確認して最終的な移植開始日を決定しましょう。
ポイント4
白未熟粒や胴割粒を防ぐ水管理と慎重な乾燥調製を
昨年は出穂の始めから記録的な猛暑に見舞われ、白未熟粒や胴割粒の多発が懸念されましたが(写真1)、生産者の皆さんの適切な水管理のおかげで被害は最低限にとどまりました(写真2)。しかし、集荷が進むにつれ各地で胴割粒の発生がじわじわと広がるようになり、調製に苦慮する産地も出てきました。
白未熟粒や胴割粒を防ぐ対策として、①穂揃い性の向上、②登熟期の高温対策、③登熟期の土壌水分の確保(写真3)、④適期収穫の実施、⑤慎重な乾燥調製の実施が重要。収穫を遅らせたり、乾燥を急ぎ過ぎたりしないよう気を付けましょう。
ポイント5【新技術】
高密度播種短期育苗の導入可能エリアが明らかに
密苗や密播と呼ばれる高密度播種短期育苗は、苗箱数が中苗対比で5割以上削減されることから省力化技術として期待されています。しかし「ななつぼし」の場合、短期育苗では出穂期が中苗対比で約5日遅くなってしまうため、地域によっては収穫時期に登熟しない危険性もあります。そこで代わりに直播用の早生品種「えみまる」を導入してみたところ、リスクが回避できることが明らかになりました。「えみまる」の密短苗に適したエリアはマップを確認ください(図1)。また、機械移植栽培基準をもとに草丈10〜12㎝とする適正管理方法を明確にしました。これに伴う葉齢、地上部乾物重、窒素含有率の目標値も示されました。移植適期を順守して取り組んでください。