2021年のポイント!
1 昨年の結果を振り返り、圃場ごとの施肥設計を
2 溝切りや畦の上げなど、圃場づくりをしっかりと
3 温度と日数に気を配り、育苗管理を適正に
4 初期生育のポイントは、ステージに合わせたこまめな水管理
5 【新技術】「えみまる」の播種量は10a当たり9kg
この記事は2021年4月1日に掲載された情報となります。
北海道農政部 生産振興局
技術普及課 主査
内田 博康さん
2020年の水稲作況指数は106(やや良)。10a当たりの平均収量は557kg。一等米比率はうるち・もち米とも9割を超えて平年より高くなりました。また、仕分け集荷による低タンパク米(含有率6.8%以下)の出荷比率は3割程度。2018年と2019年は低タンパク米が1割程度であり、昨年の北海道米は収量も品質も非常に良かったといえます。
ポイント1
昨年の結果を振り返り、圃場ごとの施肥設計を
まず昨年の結果を振り返り、生育・収量・品質(精米タンパク含有率)と栽培技術を点検しましょう。窒素施肥量が多いと多収になりますが、多すぎると低タンパク米はできません。昨年の田んぼ一枚ごとの収量やタンパク値をチェックし、それぞれの圃場の乾燥程度や土壌分析値に基づいた、細かな施肥設計をしましょう。
ポイント2
溝切りや畦の嵩上げなど圃場づくりをしっかりと
雪解けが早かった昨年は、圃場づくりの作業をするには絶好の年でした。圃場の準備をしっかりすれば、水はけのよい田んぼが仕上がり、稲の生育も促進されます。今年の春もぜひ、圃場の乾燥を進め、畦の嵩上げ、溝切りや心土破砕(写真1)などの排水対策、ケイ酸質資材の施用などの圃場づくりを実施しましょう。
ポイント3
温度と日数に気を配り育苗管理を適正に
昨年は気温の変動が大きく、生育に合わせた栽培管理が難しい年でした。特に5月後半に気温が高くなると、早期異常出穂の発生が懸念されます。育苗期間に適正温度(育苗後半25℃以下)を超えないよう注意してください。中苗は播種から30日、成苗は30〜35日が移植の目安ですが、ここ数年は春の気温が高く、移植までの日数が短くなっています。適正な葉齢の基準に達したら、すぐに植えられるような作業計画を立てる必要があります。
ポイント4
初期生育のポイントは、ステージに合わせたこまめな水管理
穂や籾がどれだけつくかは初期生育でほぼ決まってしまいます。移植の適期は5月25日まで、植え付けの深さは1.5〜2.0cmが目安です。移植直後から活着までは苗が半分隠れるくらいの水位で苗を保護し、好天時には浅水にして活着を促進させます。活着後6月から7月上旬までは水温25℃以上を確保できるよう3〜4cmの浅水管理を行い、分げつを促進させます(図1、図2)。
ポイント5【新技術】
「えみまる」の播種量は10a当たり9kg
水稲「えみまる」の湛水直播栽培において、安定的な収量を目指すための生育指標が上川農試と中央農試の試験で明らかになりました。「えみまる」の目標収量は10a当たり540kg。これを達成するのに必要な㎡当たりの苗立ち本数は150本。そのための播種量は催芽籾で300粒、乾籾換算で10a当たり9kgと具体的な数値が示されました。播種計画の参考にしてください(表1)。