JA・ホクレンでは、農業試験場や普及センターなどと連携し、全道各地に施肥防除合理化推進協議会(施防協)を組織し、施肥や防除に関する課題解決に取り組んでいます。2022年度(2022年4月1日〜2023年3月31日)の施肥防除合理化試験のうち、防除合理化試験は全道124カ所で実施しました。この中から設置点数の多い小麦殺菌剤「プロラインフロアブル」、水稲除草剤「サキガケ楽粒」の二つの薬剤について試験結果をご紹介します。
この記事は2023年10月30日に掲載された情報となります。
ホクレン肥料農薬部 技術普及課
❶小麦殺菌剤 「プロラインフロアブル」
プロラインフロアブルはホクサン株式会社が取り扱う小麦の新規殺菌剤です。有効成分であるプロチオコナゾールはDMIの作用機構に分類され、フザリウム・グラミネアラム、ミクロドキウム・ニバーレのいずれの菌種による小麦赤かび病に対して高い効果が期待できます。
試験は全道で7地区、26カ所実施しました(表1)。同じ圃場で複数の防除体系の試験を行ったケースもあるため、試験区の数としては45となります。
慣行防除体系との比較
各地域の慣行の防除体系と比較した試験は37実施されました(表2)。赤かび病は異なる系統の薬剤による3回の防除が一般的ですが、1回目の防除薬剤として位置付けた試験が多く、1事例を除き慣行薬剤と比較して「効果が同等〜優(まさ)る」との評価がなされました。
●体系防除は、慣行体系と比べほぼ「同等〜優る」評価でした。
●実用性は「高い」とした評価が多く見られました。
●赤かび病の防除体系の基幹剤として普及が期待されます。
❷水稲除草剤 「サキガケ楽粒」
サキガケ楽粒は北興化学工業株式会社が開発した「楽粒」製剤を用いた新規の水稲除草剤です。新規製剤「楽粒」は使用量が少なく省力性に優れ(250g/10a)、畦畔(けいはん)からの手散布やドローン散布など多様な散布方法にも適し、難防除雑草にも高い効果が期待されます。
散布方法別の実用性評価
全道7地区、23カ所で試験を実施し(表4)、いずれの散布方法でも高い効果が確認されました(表5)。特に風上からの1〜2辺散布では1ha以上の規模の大きい圃場でも高い評価でした(写真1)。
草種別の効果判定
いずれの草種に対しても「◎」の評価がほとんどで、安定した効果が確認されました(表6)。
●効果面では既存剤と比べ 「同等〜優る」評価でした。
●散布方法は、ドローン散布や風上からの1〜2辺散布でも効果が高く、省力的な散布方法での活用が期待できました(写真2)。
●薬害はいずれの区においても認められませんでした。
●効果や安全性、さまざまな散布方法も可能であることから、 普及性は高いと考えられました(表7)。
オモダカに対しては後発生が見られた圃場がありました。発生密度が高い圃場では後期剤との体系処理での防除が必要と考えられます。
試験にご協力いただいた生産者、JAほか関係各機関の皆さんには大変お世話になりました。今後も施防協試験を通じて得られた結果についてフィードバックできるよう取り組んでいきます。
今回ご紹介した農薬について、より詳しく知りたい場合は、最寄りのJAにお問い合わせください。
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