この記事は2019年8月1日に掲載された情報となります。
真夏も屋外でハードな運動をするアスリートは、夏バテをどのように防いでいるのでしょう。プロサッカー選手を指導する、北海道コンサドーレ札幌のフィジカルコーチに聞きました。
北海道コンサドーレ札幌
フィジカルコーチ 大塚 俊介さん
Profile:1982年、北広島市生まれ。「ロアッソ熊本」「ジェフユナイテッド市原・千葉」のフィジカルコーチを経て、2015年からコンサドーレへ。2016年のJ1昇格に貢献、クラブの好成績を支えています。
夏バテ予防の鍵は「暑熱順化」と「深部体温を上げない」
チームに帯同し選手のコンディションを管理する、大塚俊介フィジカルコーチ。北海道と気温が15℃も違うことがあるアウェーの試合では、選手の夏バテを危惧します。暑さに身体を慣らすため、わざとウインドブレーカーを着てトレーニングさせたり、サウナやお風呂に長めに入ってもらったり、積極的に汗をかくよう選手に促します。
「暑熱順化というんですけど、順化するには最低でも5日かかるといわれているので、汗腺を開いて少しずつ暑さに強い身体にしていきます」
それでも実際の試合が始まると、体温は急激に上がるそう。
「体の内部の『深部体温』が上がると、パフォーマンスが落ちます。なので、ウォーミングアップ後にやっているのが、手のひらや顔を冷やすこと。氷水を入れたバケツに手を突っ込んで冷たくします」
手のひら、足の裏、顔などを冷やすと、深部体温が効率的に下がるといわれ、実際に「いつもより動ける」と選手にも好評だそう。これなら、農作業の合間にも試すことができそうです。
リカバリーの食事にもひと工夫
「夏バテの原因は、基本的に睡眠不足と栄養不足です。暑さで良質な睡眠がとれない、食欲がわかない、だからエネルギーが足りなくなる」と大塚コーチ。トレーニングの後は、リカバリーの食事をしっかりとるように選手に伝えています。
「ハードな運動をした直後は、なかなか食欲がわきません。特に試合後は自律神経が交感神経優位になっているせいもあって、食べる気にならない。試合の帰りのバスで食べてもらうため、最初は栄養バランスのとれた幕の内弁当を用意していたんですが、みんな、ほとんど手をつけない。これじゃ意味がないなと、最近は多少バランスが偏っても、牛丼とかカレーとか、食べたくなるものを出すようにしています」
おすすめは食欲をそそる香辛料が入ったもの、にんにくやバジルなど香りが引き立つもの、食べやすい丼ものなど。汗で失われた塩分を補給する梅干しや、酸味が消化液の分泌を促すレモンなども積極的にとってほしいそうです。プロスポーツ選手のトレーニングと食事を参考に、暑い夏を乗り切りましょう。
疲れをとるストレッチ&疲れにくい身体をつくるトレーニング
腰痛を防ぐ腹筋
膝を90度に曲げて仰向けになり、息を吐きながら上体を起こします。息を吐き切ったら上体を戻し、肩甲骨が床についたら再び起こすのを繰り返します。
太ももの前側の筋肉を鍛えるスクワット
いすの座面にお尻が触れたら、すぐに立ち上がるようにして10回。高齢の方も無理なくできます。ポイントは肩幅より若干足を開き、上半身がなるべく動かない状態でひざを曲げ、ひざがつま先よりも前に出ないように注意することです。
疲れをとる腰まわりのストレッチ
右手で左膝を抱え、腰をひねって伸ばします。次は反対側も同じようにします。作業の後にストレッチをして筋肉をほぐすと、疲れがとれやすくなります。
肩甲骨をほぐすストレッチ
手を肩に置き、ゆっくり後ろに回します。数回続けて回したら、今度は反対に肘を前から回します。肩や首をほぐし、筋肉痛を防いで柔軟に保ちます。
夏バテを防ぐワンポイント