この記事は2017年4月1日に掲載された情報となります。
筋肉の柔軟性を高め、ケガを防ぐストレッチを毎日の習慣にしてみませんか。理学療法士の小川基さんが、おすすめのストレッチを実演してくれました。
札幌厚生病院 理学療法技術科
小川 基 係長
「ケガの予防や疲労の回復にはストレッチが有効です」
体の痛み、自己診断は禁物
札幌厚生病院の理学療法士 小川基さんによると、農業者には膝と腰の痛みを訴える方が多いそうです。「腰を痛めるとどうしても前屈みになり、バランスをとるのに膝を曲げることが多くなる。だから膝痛も発症しやすい」といいます。
また、腕や肩の痛みに悩む方も少なくないそう。
「いわゆる四十肩、五十肩といわれる肩関節周囲炎だろうと我慢をしていたら、肩腱板断裂というケガだったという場合もあります。我慢して農作業を続けると、悪化させてしまう」と小川さん。肩の筋肉の端にある腱が切れ、最悪の場合、手術が必要になるケースもあるそうです。
「そのうちよくなるだろうという安易な自己診断は禁物。体に痛みが出たら、まず医師の診察を受け、農作業ができる状態かどうかを確認しましょう」
かんたん、お手軽ストレッチ
では、体を痛めずに作業するには、何に気をつけたらいいでしょう?
「作業の前はストレッチで筋肉をほぐし、動きやすい状態にしておくことが大切です。柔軟性が高まり、ケガを防ぐことにもつながります」
確かに、朝起きていきなり作業を始めるよりも、体操で体を温め、血行を良くしてからのほうがスムーズに動けそう。
「道具が必要な運動は面倒で続かないので、いつでもどこでもできる手軽なストレッチをご紹介します」と小川さん。布団から出る前に寝た状態でできるストレッチもあるので、ぜひ参考にしてください。
こうしたストレッチは、トラクターに乗りっぱなしの日にも有効。同じ姿勢を何時間も続けると、筋肉がこわばってしまうので、意識して体を伸ばしましょう。
さらに、作業を終えたあとのストレッチも重要。酷使した筋肉のハリをやわらげ、疲れを次の日に残しません。「筋肉痛は、乳酸という疲労物質が蓄積し筋肉が硬くなって起こります。ストレッチで筋肉を伸ばせばそれを改善でき、疲労回復も早い」と小川さんはアドバイスします。
若い人は特にムリをしがちですが、体を痛めてしまうと、後々の仕事にひびくもの。気がせく春ですが、くれぐれも慎重に取り組みましょう。
●ケガをしないためのストレッチ●
力を抜いて、反動をつけずに10〜15秒ゆっくりと筋肉を伸ばすのがコツ。左右交互に数回行うと効果的です。