トマト隔離床養液栽培システム「うぃずOne」の導入による 褐色根腐病対策試験

キーワード:うぃずOneトマトミニトマト根腐病隔離床養液栽培システム
「うぃずOne」を導入したトマトハウス(2022年4月13日)
写真1.「うぃずOne」を導入したトマトハウス(2022年4月13日)
この記事は2023年10月13日に掲載された情報となります。

カテゴリー:実証試験
実施年度:2020〜2023年度
対象:JA新はこだて
実施:函館支所営農支援室
協力関係機関:渡島農業改良普及センター 本所

 

POINT
●「ういずOne」はトマトの褐色根腐病対策として、有効活用により条件などをクリアできれば収益は上げられる
●うぃずOne」本格導入に向けた各作型の栽培マニュアルの確立を推進

 

褐色根腐病対策として2020年度から導入試験を開始

JA新はこだてではトマトの連作による褐色根腐病対策として「うぃずOne」(写真1〜3)の導入試験を、2020年度より実施。これまでのところ「うぃずOne」は収支が黒字になるなど成果を上げています。

写真2「うぃずOne」を導入したトマトハウス(2022年10月26日)
写真2.「うぃずOne」を導入したトマトハウス(2022年10月26日)
写真3「うぃずOne」の機器
写真3.「うぃずOne」の機器

しかし、課題もあることから、取り組み成果集2022「START U‌P!」掲載の通り継続して試験を実施しています(図1)。

2022年度の試験内容は、次の5点。

  1. 半促成長期どり栽培
  2. ハウス夏秋どり栽培(通常栽培)
  3. ハウス夏秋どり栽培(収穫ピーク9月栽培)
  4. 温泉熱利用通年栽培(抑制)
  5. 温泉熱利用通年栽培(促成)

生育状況としては、どの作型も給液量不足の影響で茎径が目標の10㎜を下回り、いくつかの「果房」の着果数が少なくなりました(表1)。

表1「うぃずOne」活用時の生育状況と収量について
表1.「うぃずOne」活用時の生育状況と収量について

「うぃずOne」活用による収益性

土耕栽培において、「Hokkaido営農Navi」渡島総合振興局版での収益性の目標は10a当たり150万円と示されており、一部作型は目標を超えています。

しかし、収支試算は「10a当たり」で費用算出しており、栽培面積によって変動するので、実態に合わない場合もあります。

導入を考えている圃場に合わせた試算が必要です。また、新規導入する場合、水源の調査や資材購入の費用、販売価格などの要因によって費用対効果が得られないケースが考えられるため、事前によく検討する必要があります。

2023年度のポイント

2022度度の反省を生かし、2023年度の取り進めは次の5点に留意しながら収量・収益増を目指しています。

  1. 強日射時の給液量増加
  2. 栽植密度の変更
  3. 適正防除
  4. 発泡箱からグローバックへの変更
  5. つる下ろし誘引について検討を継続

栽培マニュアルの確立に向けて

2023年度以降の取り進めとして、各作型における栽培マニュアル確立に取り組みながら、渡島農業改良普及センターと連携し、「うぃずOne」を褐色根腐病対策の選択肢として紹介していく予定です。
さまざまな課題を解消し、収益アップに向けて知見の蓄積を進めていきます。

図1取り組み成果集2022「うぃずOne」
図1.取り組み成果集2022「うぃずOne」>記事を読む