この記事は2023年10月13日に掲載された情報となります。
カテゴリー:実証試験
実施年度:2020〜2023年度
対象:JA新はこだて
実施:函館支所営農支援室
協力関係機関:渡島農業改良普及センター 本所
POINT
●「ういずOne」はトマトの褐色根腐病対策として、有効活用により条件などをクリアできれば収益は上げられる
●うぃずOne」本格導入に向けた各作型の栽培マニュアルの確立を推進
褐色根腐病対策として2020年度から導入試験を開始
JA新はこだてではトマトの連作による褐色根腐病対策として「うぃずOne」(写真1〜3)の導入試験を、2020年度より実施。これまでのところ「うぃずOne」は収支が黒字になるなど成果を上げています。
しかし、課題もあることから、取り組み成果集2022「START UP!」掲載の通り継続して試験を実施しています(図1)。
2022年度の試験内容は、次の5点。
- 半促成長期どり栽培
- ハウス夏秋どり栽培(通常栽培)
- ハウス夏秋どり栽培(収穫ピーク9月栽培)
- 温泉熱利用通年栽培(抑制)
- 温泉熱利用通年栽培(促成)
生育状況としては、どの作型も給液量不足の影響で茎径が目標の10㎜を下回り、いくつかの「果房」の着果数が少なくなりました(表1)。
「うぃずOne」活用による収益性
土耕栽培において、「Hokkaido営農Navi」渡島総合振興局版での収益性の目標は10a当たり150万円と示されており、一部作型は目標を超えています。
しかし、収支試算は「10a当たり」で費用算出しており、栽培面積によって変動するので、実態に合わない場合もあります。
導入を考えている圃場に合わせた試算が必要です。また、新規導入する場合、水源の調査や資材購入の費用、販売価格などの要因によって費用対効果が得られないケースが考えられるため、事前によく検討する必要があります。
2023年度のポイント
2022度度の反省を生かし、2023年度の取り進めは次の5点に留意しながら収量・収益増を目指しています。
- 強日射時の給液量増加
- 栽植密度の変更
- 適正防除
- 発泡箱からグローバックへの変更
- つる下ろし誘引について検討を継続
栽培マニュアルの確立に向けて
2023年度以降の取り進めとして、各作型における栽培マニュアル確立に取り組みながら、渡島農業改良普及センターと連携し、「うぃずOne」を褐色根腐病対策の選択肢として紹介していく予定です。
さまざまな課題を解消し、収益アップに向けて知見の蓄積を進めていきます。