2020年のポイント!
1 気象の変化に対応する栽培環境
2 スマート農業技術の活用
3 【新技術】ながいもの安定生産に向けた催芽法改善
4 【新技術】MAフィルム包装の導入
5 リンゴ黒星病防除対策の継続
この記事は2020年4月1日に掲載された情報となります。
北海道農政部 生産振興局
技術普及課 主査
大平 誠さん
※文中の(★)は新技術です。
昨年、野菜のスタートは順調でした。5月の高温少雨による出芽のばらつき、8月中旬の低温寡照、大雨による湿害・病害など気象の影響がありましたが、収量は平年並みからやや多く、品質は平年並みとなりました。
果樹の発芽は順調、おうとうとりんごの開花期間は好天に恵まれ、結実は平年並〜やや良、そのほかの樹種も結実は良好。いずれの樹種も7月下旬までの少雨でやや肥大が鈍化したものの、収量・品質はおおむね良好でした。
Point 1
気象の変化に対応する栽培環境
極端な気象の変化は「毎年起きるもの」と考えて対策する必要があります。高温対策や排水対策、環境に適した作型や品種選定、栽培時期や管理方法の見直し、潅水設備の準備など、変化に対応する準備を進めましょう(写真1・2)。
農業用ハウスの保守点検には「農業用ハウス保守管理チェックシート(北海道版)」(図1)(道農政部農産振興課ホームページに掲載)を活用し、日常的な点検を行ってください。果樹は排水改善、有機物の施用による保水性の向上が重要です。特に醸造用ぶどうの苗木を定植した圃場では、少雨による生育不良や枯死が発生しているため、マルチの活用等で土壌水分不足を防ぎましょう。
Point 2
スマート農業技術の活用
高齢化や人手不足に対応するため、軽労働化や省力化ができるスマート農業技術(アシストスーツ、自動操舵システム、ハウス自動換気装置、自動潅水装置など)の導入を積極的に進めたいところです。地域に適した技術を選定しましょう(写真3)。
Point 3
【新技術】ながいもの安定生産に向けた催芽法改善
催芽湿度を80%とすることで、湿度100%よりも催芽期間は1〜2週間長くなりますが、植え付け後の萌芽が安定し、不萌芽が減少します(写真4)。その結果、収量は高位安定化します。また、いも径8㎝以上の種いもを利用する際は、かまぼこ切りとすることで、催芽中の腐敗が減少します(★)。
Point 4
MAフィルム包装の導入
野菜をMAフィルムで包装し、輸送する技術の成果が発表されました(★)。低温条件をしっかり守って使用すれば呼吸が抑えられ、グリーンアスパラガスは包材費が減り、とうもろこしでは、段ボールのみより食味や外観などの品質保持が期待できます(写真5)。
Point 5
リンゴ黒星病防除対策の継続
一昨年、発生が多かったリンゴ黒星病は、昨年は感染が広がる5、6月が少雨だったため発生量は少なくなりました。しかし、道外で問題となっているDMI剤耐性菌が北海道でも確認されたため警戒が必要です。一次感染期である展葉期から落花期までは間隔を空けず防除しましょう。