2020年の注目点

2020年 営農のポイント 畑作

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停滞水による生育への影響(てん菜)
写真1. 停滞水による生育への影響(てん菜)

2020年のポイント!

1 【新技術】小麦のなまぐさ黒穂病対策
2 【新技術】天候不良に強い秋播き小麦の作り方
3 てん菜の風害リスク回避
4 馬鈴しょの軟腐病対策
5 豆類の出芽率を高める作業方法

この記事は2020年4月1日に掲載された情報となります。

北海道農政部 生産振興局 技術普及課 総括普及指導員 上堀 孝之さん

北海道農政部 生産振興局
技術普及課 総括普及指導員
上堀 孝之さん

※文中の()は新技術です。

近年の気象は不安定で、昨年も少雨による豆類の出芽不良、夏の高温による小豆の落花などの影響を受けました。しかし、その後は天候に恵まれ、ほぼ平年並みの収量を上げることができました。気象の変化による影響をできるだけ少なくするため、排水対策や適期作業など、基本技術の徹底が必要です(写真1)。

Point 1
【新技術】小麦のなまぐさ黒穂病対策

コムギなまぐさ黒穂病(写真2)は2012年に道内複数地域で発生し、大きな問題となりました。道総研の研究により、道外とは異なる菌であることが明らかとなり、防除対策がまとめられました()。北海道病害虫防除所のホームページにQ&Aなどが掲載されています。

コムギなまぐさ黒穂病
写真2. コムギなまぐさ黒穂病

また、小麦に関しては赤さび病の発生も目立っています(写真3)。圃場をよく観察し、早期に手を打つことが防除の鍵です。

赤さび病(秋播き小麦)
写真3. 赤さび病(秋播き小麦)
北海道病害虫防除所ホームページ
防除に関する詳細は北海道病害虫防除所ホームページをご参照ください。 http://www.agri.hro.or.jp/boujosho/

Point 2
【新技術】天候不良に強い秋播き小麦の作り方

中央農業試験場より、気象変動に対応した「きたほなみ」の栽培法が発表されました()。「きたほなみ」は多肥を避け、幼穂形成期に追肥することで、登熟期間の日照時間が少なくても減収しにくくなります。日照不足となりやすい十勝やオホーツク内陸、道央では目標穂数を550〜650本/㎡として受光態勢を良好に保つことが有効です(写真4)。

秋播き小麦安定生産への目標穂数
写真4. 秋播き小麦安定生産への目標穂数

Point 3
てん菜の風害リスク回避

直播栽培では出芽間もない頃に強風の影響を受けやすく、昨年は5月下旬に部地域で被害が発生しました。風害リスク回避のため、同伴緑肥(イネ科緑肥を畦に播種する)の導入や防風ネットの設置などを検討してください。

Point 4
馬鈴しょの軟腐病対策

高温多湿でリスクが高まる軟腐病の予防のためには、圃場の透排水性を高めるほか、多窒素栽培を避け過繁茂や倒伏が発生しないよう管理することが重要です。「生食・加工用ばれいしょ品種の窒素施肥反応と土壌診断に基づく窒素施肥対応」(2017年の普及推進事項)を参考にしてください。

Point 5
豆類の出芽率を高める作業方法

昨年は、播種後の少雨により部地域で出芽率の低下・不揃いが発生しました。特に重粘土壌では、土壌水分が多い状態で耕起・整地作業を行うと、大きな土塊が残ることがあり、乾燥時には出芽の良否に大きく影響します。適切な条件で作業するとともに、播種後の鎮圧により土壌水分の蒸散を防ぐことも重要です。