栽培

かぼちゃ栽培の省力化!着果位置が揃いやすい品種の紹介

キーワード:かぼちゃかぼちゃ茎葉処理機効率化省力化技術
この記事は2025年5月2日に掲載された情報となります。

 

ホクレン 農業総合研究所 作物生産研究部 園芸作物開発課

 

POINT
❶着果位置が揃うことで果実が見つけやすくなり、収穫時の負担軽減が見込める品種です。
❷茎葉処理を行う機械と組み合わせることで、収穫作業の効率化につながります。

 

近年、北海道内におけるかぼちゃの作付面積は10年間で2000haほど減少しています(2023年度面積6410ha〈農林水産省HPより〉)。その要因に、収穫時の身体的負担が大きいことが挙げられます。

そこで、収穫時の負担軽減を目指し、着果位置が揃いやすく、収量性も見込める品種を開発しました。選定した3品種をご紹介します。

 

選定基準について

2022〜2024年度までの3カ年で、さまざまな種苗会社から提案のあった35品種を調査し、着果位置の揃い性、収量性を基準に選定を行いました。

かぼちゃは、地面に沿って伸びる、つるのいろいろなところに着果するので果実が点在し、また、葉の下にあるので果実を探し回る負担があります。

そこで、着果位置が揃っている品種を選定するため(図1)、株元があるマルチシートからの距離のばらつきを調べました。

 

図1収穫範囲による作業負担のイメージ
図1. 収穫範囲による作業負担のイメージ

 

また、収穫時に歩いて視認できる範囲を1.5mと設定し、この幅での最大収量も調査しました。なお整枝作業は、摘心を行わず、親づるの誘引のみ行いました。

 

選定した3品種

表12023年度長沼研究農場試験結果
表1. 2023年度長沼研究農場試験結果
栽培条件:播種5月9日、定植5月24日、畦間3.5m、株間0.5m
※1 着果位置のばらつきを示す数値。小さいほど着果位置は揃うと考えられる。
※2 特定の範囲(1.5m)に着果した果実の総収量。大きいほど収穫時の効率が高いと考えらえる。
※3 弱1⇔強5の0.5刻み、9段階で評価。

 

❶「くりゆたかDX」(ヴィルモランみかど㈱)

年度間差は見られるものの、着果位置は揃いやすく、1.5m幅での最大収量は1・6t/10aと慣行品種より優れます(表1)。他に、貯蔵歩留が優れます。

❷「グラン・モンブラン」(ナント種苗㈱)

着果位置は揃いやすく、1.5mでの最大収量は1・8t/10aと、慣行品種よりも収量性が優れます(表1)。

❸「AJ−171」(朝日アグリア㈱)

3品種の中で株元付近に最も着果位置が揃いやすく、1.5m幅での最大収量は1.8t/10aと慣行品種よりも優れます(表1)。

2025年は試作のみ可能で、種子の販売は2026年2月を予定しています。

 

図22023年度試験品種の着果位置の例(10株分)
図2. 2023年度試験品種の着果位置の例(10株分)

 

図3草姿による違い
図3. 草姿による違い

 

表2選定した品種の紹介
表2. 選定した品種の紹介

 

品種と機械の組み合わせによる効率化を目指して

収穫作業の更なる効率化を目指し、トラクターの前部にホクレンが開発協力を行ったデバイダー※を装着したトラクターとの組み合わせ試験を行いました(写真)。

※商品名:かぼちゃつる切りデバイダー(KCー1400P)

 

写真デバイダーを装着したトラクターでの作業
写真. デバイダーを装着したトラクターでの作業

デバイダーでのつる切りと果実の左右振り分けにより、タイヤで果実を踏まないように走行でき、また、後部へのチョッパー装着で茎葉を細断することで、人が葉をかき分けて果実を探す手間を省けます。

本機を用いて、選定品種の中から「くりゆたかDX」との組み合わせ試験を行いました。

その結果、着果位置が揃いやすい品種のほうが、茎葉処理を行うことによる時間当たり収穫量向上の効果が大きく、作業効率化につながることが示唆されました(図4)。

 

2023年度の品種と機械の組み合わせ
図4.2023年度の品種と機械の組み合わせによる時間当たり収穫量の試験結果

 

かぼちゃつる切りデバイダー(KC-1400P)については、アグリポートVOL.52でも紹介しています。
>>アグリポートVOL.52記事を見る

 

当品種や機械に関しては、下記の連絡先まで
お問い合わせください。

●品種に関する問い合わせ
ホクレン園芸作物開発課(℡0123-88-1990 )

●機械に関する問い合わせ
ホクレン各支所 農機燃料自動車課

●種子に関する問い合わせ
ホクレン各支所青果課、米麦農産課、農産園芸課、またはお近くのJAまで