小麦・大豆・子実コーンの輪作体系を北海道農業に根づかせたい

キーワード:あの人のビューポイント子実コーン輪作連作障害

北海道子実コーン組合 代表理事組合長  柳原 孝二(JAながぬま)

北海道子実コーン組合 代表理事組合長
柳原 孝二さん(JAながぬま)

この記事は2024年2月26日に掲載された情報となります。

 

 日頃、般の方は目にする機会がほとんどない飼料穀物の子実コーンですが、実は日本は世界有数の子実コーン輸入国。国内需要の約1500万トンの、ほぼ全量を輸入に頼っている現状です。ところが、北米での需要拡大や、2018年の豚熱以降、国策として養豚を後押しする中国の勢いに押されて、日本への安定供給が揺らいだ時期もあり、近年ますます国内生産に対する需要が高まっています。

 また、私のように水田から小麦と大豆に転作した農家にとって、子実コーンは連作障害に有効な土づくりや、播種から収穫まで手間がかからない作りやすさなどのメリットを考えると、積極的に輪作体系に組み入れたい作物です。当初は6haから始めた小さな試みでしたが、「小麦の収量を上げたい」「大豆の品質を高めたい」といった畑作に真剣に取り組む道内の仲間や、「国産飼料を食べた鶏や豚をブランド化したい」という意欲的な畜産農家さんたちのご協力もあり、徐々に作付面積が拡大。2022年には日本メイズ生産者協会を発足し、流通販売専門の株式会社Maizeも立ち上げました。

 栽培を始めてから10年、2回転したうちの畑では子実コーン収穫後の根や茎をそのまま畑にすき込むため、水はけが良くなり、窒素などの栄養分が土に戻ることで大豆の追肥が不要になり、収量アップも実感しています。

 子実コーンを食べて家畜が育ち、その肉を私たちが食べることを考えると、子実コーンは日本の食を支える大事な作物です。まずは全国作付面積30万haを目指し、その先には北海道農業の安定した継続のためにも、小麦・大豆・子実コーンの輪作体系が定着することを目標にしています。

Profile:1979(昭和54)年、長沼町生まれ。酪農学園大学卒業後、4代続く柳原農場に就農。2012(平成24)年、6haから子実コーン栽培を開始。2015(平成27)年、北海道子実コーン組合を設立、代表理事組合長に就任。国内の子実コーン栽培の第一人者として日本メイズ生産者協会代表理事、株式会社Maize代表取締役も兼任。写真背景のタンクに保管された子実コーンが全国に運ばれていく。