この記事は2018年10月1日に掲載された情報となります。
ホクレン 肥料農薬部 技術普及課
POINT!
❶施肥設計に目的を絞った低コストな分析メニュー「施肥設計分析」が登場しました。
❷土壌サンプルは圃場の状態を正しく反映できるよう採取することが大切です。
①新たな分析メニュー「施肥設計分析」
土壌分析の主な目的には、
①圃場の状態を確認し良い土の条件(=作物の生育に適した環境)に整える「土づくり」と、
②養分の過不足に合わせて施肥量を決定する「適正施肥」があります。
ホクレンが設置する「くみあい土壌分析センター」では、基本分析や微量要素分析がこれらの目的のために多く利用されています(表1)。
一方、(北海道施肥ガイドに基づいて)施肥設計を行う場合、必要な分析項目は窒素、リン酸、カリ、苦土等に絞られます。
そこでくみあい土壌分析センターでは、適正施肥に必要な土壌分析に、より手軽に取り組んでいただけるよう、「施肥設計分析」という分析メニューを加えました。
これは、分析項目を施肥設計に必要な窒素、リン酸、カリ、苦土と、土壌分析の最も基本的な項目であるpH、ECに絞り込むことで、従来の基本分析より分析コストを半額程度に抑えたものです。
特に、手軽な料金で土壌分析を始めてみたい方、毎年土壌分析したいが分析料金が気になる方、前回の分析から数年経過して養分推移が気になる方などにおすすめです。ぜひご活用ください。
②正しい土壌サンプル採取のポイント
せっかく土壌分析を行っても、採取した土壌サンプルがその圃場の状態を正しく反映していないと意味がありません。土壌サンプル採取のポイントを紹介します。
(1)採取場所の選び方とサンプル量
圃場の土壌成分は均一ではありません。家に近い圃場の隅など、偏った場所のみから採取すると圃場全体を反映できません。
図1のように圃場を代表する地点を決め、対角線上に5カ所くらいから土壌を採取してよく混ぜ、その一部をサンプルとします。分析に必要なサンプル量は約1㎏です。
(2)生育異常時のサンプル採取方法
作物が生育異常をきたしている場合は、生育が異常な部分と、正常な部分の土を区別して採取してください(図2)。
(3)サンプルの採取時期と採取する深さ
①普通・野菜畑
●施肥の影響を避けるため、基本的に作物収穫後が望ましいです(春の耕起前でも可)。
●深さ約20㎝までの作土層から、一定の厚さで上下均等に採取します(図3上)。
●うね立てしてある場合は、うねの肩から肩までの作土を一定の幅で採取します(図3下)。
②草地
●施肥や堆肥・ふん尿の散布前に採取します。
●ルートマット層は取り除かずに採取します。
●維持管理草地では草地表面から5㎝までの層を採取します(図4右)。
●更新予定草地では、耕起後に播種床表面から15㎝程度の改良対象土層となる部分(プラウによる耕起深の違い等に注意)から採取します(図4左)。
※ルートマット:イネ科牧草にみられる表層付近に集中した根の厚い層
土壌分析についてはJA担当窓口までお問い合わせください。