この記事は2018年10月1日に掲載された情報となります。
農作業には欠かせないトラクター操作。基本から教えてくれる研修があるのをご存じですか。どのような内容で行われているのか、本別町にある北海道立農業大学校を訪ねました。
研修に参加した
村瀬 冴美さん(池田町)
畑作農家の一人っ子。服飾の専門学校を卒業後、札幌で縫製の仕事をしていました。縫製の仕事も好きでしたが、それ以上に農業への想いが強くなり実家で就農しました。
安全な操作方法を身に付ける
取材に伺ったのは2泊3日で行われる「トラクタ基本操作研修」。十勝はもちろん石狩、空知、後志など全道から集まった20〜40代の12名がトラクターの操作を実践的に学んでいました。
今回は参加者の村瀬冴美さんに密着。研修を受けた理由をまずお伺いしました。
「札幌で働いていたのですが、だんだんと農業に興味が出てきて、2年前にUターンして就農しました。去年、JA十勝池田町が新規就農者向けに開講した『みのり塾』に参加して、その一環で十勝農業改良普及センターのヤングファーマーズ講座を受講。そこで農業大学校の研修を教えてもらったんです」
今回の研修でトラクターの仕組みから点検の方法、工具の取り扱い、実際の操作などを学びました。
「難しかったのはトレーラーのけん引。家ではもっと大きなハーベスターを当たり前のようにけん引している父を見直しました」と村瀬さん。お父さんの熟練した技術に初めて気付いた様子です。
一緒に学んで、仲間もできる
このトラクタ基本操作研修は、2泊の宿泊費・食事代込みで4,090円と、安価な費用で受講できるのも大きな魅力。さらに、作業機の着脱や調整を学ぶ「スキルアップ研修」、農業機械を効率的に稼働させるための「プランニング研修」などもあり、続けて受講するリピーターも多いそうです。
このほか、経営について学ぶ「一般研修」、フォークリフトや玉掛け、溶接などの資格を取得できる「技能講習」もあります。
対象者は農業者と就農を目指している方のみですが、最近は農業生産法人が新人研修の場に利用したり、定年後に農業を始めたいと受講する夫婦も増えているそう。
市町村やJAが担い手育成のカリキュラムに組み込んで、新規就農2年目の人たちを毎年、農業大学校へ派遣してくるケースもあるそうです。
村瀬さんのように自宅が近くて通える人もいますが、ほとんどの研修生は宿泊棟に泊まって数日間一緒に過ごすので、仲間づくりができるのもメリット。
研修が終わってもお互いに連絡を取り合って、情報交換する人が多いとか。村瀬さんも「次はスキルアップ研修を受けてみたい」と意欲的でした。
農機のベテランが「匠の技」を伝授します
北海道立農業大学校
教務部 研究研修班
主査(機械)須田 耕さん
実技の講師陣は公益財団法人 北海道農業公社で長く農地整備などに携わってきた機械分野のベテランばかり。
そうした匠の技を、これからの農業を担う人たちに伝授するのが、農業大学校の「農業機械研修」です。
高度な技術の継承はもちろんですが、私たちの一番の目的は「農業者の皆さんに安全に作業をしてもらう」こと。
トラクターは専用の免許がないので、安全教育を受けていない人がほとんどですが、これが乗用車だったらありえないことですよね。
ぜひ当校で安全な操作を学んで、地域に持ち帰り、事故のない安全な農業を広めてほしいと思います。