この記事は2017年4月1日に掲載された情報となります。
ホクレン 肥料農薬部 技術普及課
POINT!
施防協の試験結果をご紹介します。
(「たまねぎの窒素分施効果確認」、「直播てんさいに対する被覆肥料の活用」)
JA・ホクレンでは、地域の施肥防除に関する技術課題の解決に向け、農業試験場・農業改良普及センターなどと連携し、全道各地区に「施肥防除合理化推進協議会(施防協)」を組織し、各地域の実情に応じた新資材・新技術の確認試験を行っています。特に全道的な普及が期待される課題は、「共通課題」として全道各地で試験を行っています。
その中から施肥関係の試験結果を紹介します。
1.たまねぎの窒素分施効果確認
たまねぎでは春先の多雨により生産が不安定になる場合があります。その課題について、ホクレン農業総合研究所も参画した試験結果により、たまねぎ安定生産のための窒素分施技術(図1)が北海道の普及推進事項として示されました。
平成28年度は全道5カ所でこの技術の効果を確認しました(うち1試験は湿害により調査不能)。
(1)試験方法
供試銘柄(表1 施肥設計例)
試験区 基肥: 農家慣行銘柄(施肥量2/3)
分施: 硝酸カルシウム
慣行区 基肥: 農家慣行銘柄
(2)試験結果
各試験地とも試験区の規格内収量、一球重が慣行区以上となりました。また、試験地によっては慣行区を大きく上回る結果でした。本年度のように6月中旬に多雨の条件では、分施技術が有利だったと考えられます。
分施する場合の基肥に慣行と同銘柄を使用するとリン酸・カリが減肥となり、特にリン酸・カリ蓄積圃場や、リン酸強化培土「オニオンエースPアップ」を使用した場合にはリン酸施肥量が適正になるので、コスト面からも普及性が高いと評価されています。
2. 直播てんさいに対する被覆肥料の活用
直播てんさいは発芽時に肥料の濃度障害に弱いことから全層施肥や分施が有効な施肥方法ですが、施肥量や施肥回数の増加が課題でした。
BB 肥料「BBS517 CR」は、肥料が溶け出す速さを遅くした被覆肥料セラコートR15が含まれていて、全量作条施肥でも濃度障害のおそれが少ない肥料です。
北海道の指導参考事項として示されており、平成28年度は全道4カ所で効果を確認しました。
(1)試験方法
供試銘柄(表2 施肥設計例)
試験区 BBS517CR(窒素成分15%のうち10%がセラコートR15)
慣行区 農家慣行施肥
(2)試験結果
各試験区とも試験区の根重・糖量は慣行区と同等以上となり、普及性は高いと評価されました。BBS517CR は施肥作業が一回で済むこと、また、窒素成分が15%と高いので、一袋当たりの窒素量が多く、施肥する袋数を減らせることから省力化が可能です。