飼料

粗飼料分析の活用①〜水分・繊維

キーワード:サイレージ品種技術牧草粗飼料分析
図1.飼料の構成成分(牧草サイレージの例)
図1.飼料の構成成分(牧草サイレージの例)

 

この記事は2019年10月1日に掲載された情報となります。

 

ホクレン 畜産生産部 生産技術課

 

POINT
❶飼料の水分で乾物量が変わることに留意しましょう。
❷繊維性成分のうち、消化しにくい成分の量に着目しましょう。
❸牧草の栄養成分は収穫時期によっても変わります。

 

粗飼料分析の主な分析項目

飼料の栄養成分は、大きく「タンパク質」、「炭水化物」、「脂肪」、「ミネラル」に分けられます(図1)。

ホクレンくみあい飼料株式会社の粗飼料分析では、それぞれの栄養成分を記載しています(図2)。

 

図2.粗飼料分析結果報告書(抜粋)
図2.粗飼料分析結果報告書(抜粋)

 

また、ほかにも栄養成分から推定されるエネルギー含量であるTDN(可消化養分総量)や、発酵品質(選択分析1の場合)などがあります。

 

①水分

生育中の牧草は80%以上の「水分」を含んでおり、サイレージについても高い「水分」を含んでいます。

飼料の栄養把握は、水分を除いた乾物の量で行うため、分析結果の乾物中の値を見ます。

例えば同じ現物重量40㎏を給与する場合でも、水分が5%違うと乾物量は2㎏もの差になるため(表1)、飼料の水分を把握するのはとても大切です。

表1.水分の違いによる乾物重量の違い
表1.水分の違いによる乾物重量の違い

 

②繊維

炭水化物は「繊維」と「非繊維性炭水化物(NFC)」に分けられます。牛にとって「繊維」は重要な栄養成分です。

この繊維とは、植物のからだをつくる細胞壁の繊維性成分のことで、ヘミセルロース、セルロース、リグニンがあります。それぞれ消化のしやすさが異なり、リグニンはほとんど消化されません。

こうした繊維性成分の総量はNDF(中性デタージェント繊維)として表されています(図3)。

 

図3.主な繊維性成分と酵素法による消化しやすさの分類
図3.主な繊維性成分と酵素法による消化しやすさの分類

 

また、酵素を使った分析で繊維性成分とペクチンという成分を合わせた量(OCW)やそのうちの消化しにくい成分(O‌b〈低消化性繊維〉)の量を調べる方法があります。

かさがあり、消化しにくい部分が多いと、すぐにおなかいっぱいになってたくさん食べられないため、低消化性繊維であるO‌bを給与時の目安として着目しましょう。

 

収穫時期による栄養成分の変化に留意が必要

一般的に牧草は生育とともに収量は増え、繊維含量(NDF)は増加しますが、C‌P(タンパク質)、TDN(可消化養分総量)は減少していく傾向にあります。

2019年度の1番牧草の分析値についても、6月中・下旬からC‌P、TDNは低下し、NDFは増加する傾向がみられます(図4)。

 

図4.2019年1番牧草の生草分析平均値の推移
図4.2019年1番牧草の生草分析平均値の推移

 

給与する粗飼料は、収穫時期や草種、肥培管理のほか、地域や天候などさまざまな要因により栄養成分や発酵品質が変わります。牧草は年に2〜3回収穫されますが、特に繊維の消化しやすさは、収穫のタイミングや何回目に収穫した草なのかなどにも大きく影響されます。

また、飼料の摂取量が落ちる暑い時期や、分娩が多く泌乳ピーク牛が多い時期は消化しやすいものが望まれます。

適切な飼料給与のため、粗飼料分析を活用し、使用する時期や順序、組み合わせなどを検討することが大切です。