畑作生産者Aさんのお悩み
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てん菜の育苗や移植作業は労働力の負担が大きくて困っています。経費や作業を抑えつつ収入を確保したいけどいい方法はありますか?
省力化・低コスト化を実現する!てん菜直播栽培技術
photo: 川村恵司 / PIXTA(ピクスタ)
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てん菜の経営面積を広げたけど、育苗や移植作業が大変!
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それなら、てん菜直播栽培技術はどうでしょう? 春先の育苗や移植作業が不要となり労力が軽減されるのでお勧めです。
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直播栽培は移植栽培に比べて収量が落ちるイメージがありますが…。
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確かに移植栽培に比べ収量は1~2割程度低下することが多いです。ただ、労働時間が減り、育苗に関する資材費がかからないので経費を落とすことができます。収量の減少を最小限に抑えられれば、収量が落ちても利益率をあげることが可能です。
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トータルで見るとコストを下げ、労力をかけなくても収入を確保できるという訳ですね。春作業は他の作物と作業が競合するから省力化できれば助かるわ!
図1.直播栽培による省力化効果(出典:てん菜直播栽培マニュアル2004(社団法人 北海道てんさい協会 発行))
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育苗や移植がないからこの部分を省力化できるんです!
図2.変動費の比較(北海道農業生産技術体系(第5版)(北海道農政部生産振興局技術普及課 編集・発行)を基に作成)
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育苗にかかる資材費を削減できるのよ。
てん菜直播栽培技術のポイント
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忙しくて作業が遅れることもあるから、直播の方がいいかも!
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単に直播栽培へ置き換えるのではなく、収支を見極めて導入しましょう!直播栽培は、移植栽培に比べ収量が低下することがあるため、単純に置き換えるだけでは所得が低下する可能性もあります。
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しっかりと利益を確保できるか見極めが肝心ということですね。収量を確保するポイントはありますか?
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直播栽培では、株立本数の確保や初期生育の安定化が重要になります。そのためには、以下の項目に注意が必要です。
直播栽培のポイント
●適切な砕土(土塊径20mm以下の割合が90%以下)と鎮圧の実施。ただし、過度な砕土はクラストや風害の原因になるので注意。
●播種時期は、地温が10℃以上となる時期を目安とし、播種深度は1~2cm(土壌水分が少ない場合は1.5~2.5cm)とする。
●てん菜は低pHに弱い作物。石灰質資材を適切に施用し、土壌pHを5.8以上に保つ。
●直播てん菜は、窒素肥料の濃度障害に弱いため、窒素全量の作条施用は避けて、整地時に混和する方法(全層施肥)、または、作条施肥時の窒素量を減らして追肥で補う方法(分肥)を検討。
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直播栽培は肥料やけに注意が必要な栽培法なので肥料を分散させることが大切です。
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導入タイミングも考えましょう。Aさんのように作付規模拡大で手が回らなくなった場合、一部に直播栽培を導入するのがお勧めです。また、移植機の更新時期など、新たな投資タイミングで直播栽培を検討してみるのも良いでしょう。