ひだか東農業協同組合
代表理事組合長 桑田 美智代さん(桑田牧場)
この記事は2023年12月22日に掲載された情報となります。
うちは曽祖父が広島県から浦河に入植し、独立した祖父が軽種馬一頭の面倒を見るところから始まりました。
体調を崩しがちな父に代わって私が桑田牧場の代表になったのは、東京からUターンして13年目の時です。我が家は三姉妹でしたし、小さい頃からなんとなく皆が、長女の私が継ぐんだろうなと思っていたみたいです。
東京時代は「実家でサラブレッドを育てているなんてすごいね」なんて言われたこともありましたが、小さな家族経営で手間も時間もかかるサラブレッドを育てるには両親も相当苦しい時代が続いたはず。
お母さん馬のおなかにいる頃から、親子共々ストレスがかからないように健康でのびのびと成長できる環境を整えてきました。地道に土台を築いてきたからこそ、現在の繁殖牝馬(ひんば)約30頭を繁養(けいよう)する桑田牧場になれたと受け止めています。
この度、ひだか東農業協同組合の代表理事組合長に、というお話があった時は恐縮しきりでした。理事の方々の「自分たちも協力するから」という言葉に背中を押されて、謹んで拝命した次第です。
北海道のJAで初の女性組合長だと話題にもしていただいているようですが、基本はこれからも従業員や組合員をはじめとする「人の幸せ」と「馬の幸せ」を大切にしていくことだと考えています。
軽種馬育成は農業とは別物だと思われがちですよね。でも実は、人間の思い通りにならない自然環境に左右されるところや、育てる対象が生き物であることは全く同じ。
よりよいものができるようにと願いながら常に決断を迫られる点も、皆さんと一緒です。時には「失敗しちゃったな」という苦労も含めて、そこが楽しい。人生と一緒ですね。