酪農家Bさんのお悩み
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肥料価格が高騰して、牧草生産のコストが増大しました。経費を削減したいけど、収量や品質に影響しない良い方法はありますか?
「北海道施肥ガイド2020」に基づいた施肥で効率化!
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勧められて土壌分析をしてみたけれど、どうやって施肥量を決めたらいいのかな~。
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「北海道施肥ガイド2020」に基づいた施肥を行うことで、ムダのない適正な施肥ができます。適正施肥は良質な自給飼料生産につながりますよ。ではBさんの牧草地の施肥量を決める流れを順番に説明しますね。
Bさんの圃場
●地帯:道東 ●採草地:チモシー ●土壌:火山性土 ●基準収量:4,500~5,000kg/10a 年間
●マメ科率区分:3(マメ科率5~15%、チモシー率50%以上)
●土壌分析値:リン酸基準値以上(60mg/100g) カリ基準値以上(50mg/100g)
ステップ1:施肥標準量の確認
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まず北海道施肥ガイドに記載されている対象とする圃場の施肥標準※を参照します。
表1.チモシー採草地の施肥標準量 (㎏/10a, 年間)
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該当する草地区分から施肥標準を読み取ります。Bさんの圃場は赤い部分です。チモシー・マメ科牧草の維持のためには適切な窒素施肥が重要です。
※施肥標準量:牧草の基準収量を得るために必要な施肥養分量のこと。この値に土壌分析結果や有機物施用 による増減(補正)を行うことで適正養分量を算出します。
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次に土壌分析結果に応じて、施肥標準量を補正します。
表2. 施肥標準量との比較表 (kg/10a・年間)
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Bさんの圃場はリン酸、カリが蓄積傾向にあります。そのため、リン酸とカリは施肥標準の50%が年間に必要な施肥養分量です。適切な施肥量にすることでムダをカットできます。
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年間に必要な施肥養分量は分かりました!うちは、チモシー採草地で年間2回収穫しているんですが、その場合はどのように配分するのですか?
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早春と1番草刈取後で2:1の割合になるように年間の施肥養分量を配分します。よって、各時期に施用する養分量は表3の通りとなります。
表3. 施肥配分表 (kg/10a)
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1番草刈取後の追肥は、2番草のみならず、翌年の1番草維持のためにも重要です(追肥をしないとチモシーが雑草に負けてしまい、草地更新コストが余計にかかってしまいます)。
ステップ2:有機物の評価
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スラリー(1t/10a)を前年秋または早春に散布するのですが、その場合はどのように評価しますか?なお、成分値は分析していません。
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分析値がない場合は表4を参考にしますが、分析値があるとより精密に評価できるので、分析することをお勧めします。なお、肥効はチモシー草地では1番草:2番草で2:1の割合と見なします(表5)。
表4 .維持管理時の有機物施用により牧草に供給される肥料養分量(kg/現物t)
表5. 時期別の有機物肥効評価 (kg/現物t)
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たい肥やスラリー等の有機物に含まれる肥料養分量は、成分分析値と肥料換算係数によって算出しますが、分析値がない場合は表4を参考にできます。
ステップ3:化学肥料の必要量
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最後に、年間に必要な施肥養分量から有機物によって供給される量を差し引いた量が化学肥料で施用する分です。
表6. 化学肥料の必要量 (kg/現物t)
表7. 提案銘柄および施肥量の一例
※BB580の保証成分 窒素:15%、リン酸:8%、カリ:10%、苦土:5%
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化学肥料の必要量に適した銘柄を選び、施肥量を決定します。
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このように、地帯や土壌、草種などに応じた施肥標準を基に、土壌分析結果による補正や施用する有機物を加味した施肥を行うことで、無駄のない効率的な施肥を行うことができます。
詳しくは「北海道施肥ガイド2020」を参照するか、お近くの指導機関にご相談ください。
「北海道施肥ガイド2020」は北海道のクリーン農業HPの
クリーン農業関連リンク集からご覧いただけます。