浅野牧場 浅野 達彦 (JA阿寒)
この記事は2023年2月1日に掲載された情報となります。
酪農家として12年。今、自分がやりたいことが形になってきて毎日が楽しいです。規模拡大をせず、収益アップを念頭に良い循環を作ることと、ゆとりの確保にこだわってきました。乳房炎を減らし、繁殖サイクルを改善。ゲノム解析やIoTの活用で生産性を上げ、労働時間も短縮できました。放牧酪農は低コストで牛も喜び、乳量にも成果を感じています。
また、酪農サークルの大学生との勉強会を開催。参加している学生の中には、都会から新規就農を目指す学生が結構いることに気付きました。学生たちに酪農を志した理由を聞いてみると、マンガ「銀の匙」を読んで憧れたからという声が。マンガがヒットした当時、母校の高校受験倍率が上がったとも聞き、「このマンガを子どもたちが読めば農業に興味を持ってもらえる」という思いでクラウドファンディングにも挑戦。想像以上の支援があり、釧路市内の全小中学校へ「銀の匙」を届けられました。JA青年部の協力も得て、これまで道内約450校に寄贈。活動の輪が広がり喜びを感じています。はじめは個人レベルでも、一歩踏み出せば大きなムーブメントになる可能性を体験できました。思い付いたらやってみるのは大切なことです。今は日本中の小中学校に届けるのが目標です。
「豊かさとは、選択肢がどれだけあるか」。この言葉は以前、弟が言った名言。これからの子どもたちは稼ぐだけではなく、自分がどう世の中に関わるかが重要となります。新規就農者が描く夢はそれぞれ。やりたい酪農の形態が選べるよう、いろいろな人が就農しやすい環境をつくることが自分のやるべきことだと考えています。人生を豊かにするためのひとつに酪農という選択肢があることを広めていきたいです。