2020年のポイント!
1 分娩前後の適正管理
2 分娩事故(子牛死産)の低減
3 【新技術】植生改善で生産性向上
4 防疫意識の向上
この記事は2020年4月1日に掲載された情報となります。
北海道農政部 生産振興局
技術普及課 総括普及指導員
寺田 浩哉さん
※文中の(★)は新技術です。
近年は乳価水準が高く、酪農家にとっては増産に取り組める状況にあります。規模拡大を目指す農場も増え、道内の生産量も増加しました。個体販売価格も高値で推移し、経営安定化が図られています。乳牛頭数も増加傾向にありますが、今後は死廃事故や疾病の発生を抑え、ロスの少ない飼養管理をすることが課題になります。
Point 1
分娩前後の適正管理
牛の分娩前後は生理的変化が激しく、この時期に疾病が多く発生します。胎児への十分な栄養供給と次期泌乳期へ向けての栄養の充足など栄養要求量が大きく変化し、飼養環境の変化によるストレスの重複も考えられます。各時期の飼養環境を整え、飼料を喰い込ませ膨満感状態にしておくことで、分娩後の喰い込みを促進しましょう。また、十分な栄養やミネラルバランスで周産期病を予防し、無事分娩を終えて産褥期(さんじょくき)(分娩後21日間)をうまく乗り切る管理が重要です。
Point 2
分娩事故(子牛死産)の低減
子牛死産は12月〜2月の冬期間に多くなります(図1)。飼養頭数が増える半面、人手不足の中、事故減少の鍵は分娩監視に時間を当てられるかにあり、分娩監視機器の導入も一つの方策です。また、難産への早めの対応、介助のタイミングなど獣医師と相談のうえ対処することが重要です(写真1・2)。更に、自由に移動でき、寝起きがしやすく、清潔な分娩場所の確保も不可欠です(写真3)。
Point 3
【新技術】植生改善で生産性向上
自給飼料の生産基盤を強化するためには、草地更新をしたいところですが、全道の草地更新率は約4%と依然低い状況です。経年化しルートマットが厚く強害雑草が多い草地でなければ、簡易更新でも生産性改善が望めます。
2020年の新技術で「更新初期の牧草生産性に対する簡易草地更新の効果」が指導参考事項として出されました(写真4・5・6)。更新5年目までの生産性は、更新法の違いによる差はなく、更新しない場合に比べて多収であるとされています(★)。
Point 4
防疫意識の向上
全国で豚熱(豚コレラ)の発生が続いており、アフリカ豚熱の脅威も迫っています。2010年に宮崎県で口蹄疫が発生した際は道内でも危機意識から防疫措置として農場の出入口に多くの石灰がまかれていましたが、近年はまいていない農場も散見されます(写真7)。今一度防疫意識を高め、継続することが重要です。