経験からの学びを生かして人が育つ酪農をサポートしたい

キーワード:あの人のビューポイント酪農経営

千葉牧場 専務 千葉 澄子

千葉牧場 専務
千葉 澄子

この記事は2022年8月1日に掲載された情報となります。

牛のおっぱいが四つあることすら知らなかった私にとって酪農の全てが初めてのことだらけでした。

その上、結婚後間もなく経営状況が悪いことを知り、涙が出るほどの苦労を味わいました。

経費を抑えながら牛を増やすことに夫婦で全力を注ぎ、経営の立て直しに奮闘。

私は逆境に燃えるタイプで、後にロータリーパーラーを導入した際にも、40歳を過ぎてのパソコン操作に「自分にできないことは無い!」と乗り越えてきました(笑)。

人を雇うようになると、雇用した従業員さんがなかなか長く続かない。

それがきっかけで人の気持ちを知るためにコーチングを勉強しました。

一人ひとりが得意な分野で頑張り、尊重し合う。

千葉牧場という大きな車輪をワンチームで回して前進することに意義があります。

仕事をする仲間は「人材」ではなく「人財」なのです。

北海道指導農業士として、新規就農者の受け入れ、女性を対象にした勉強会、牧場視察、講演など、さまざまな活動を行っていますが、多くの人との出会いは、私自身の成長につながっていると実感します。

酪農経営には戦略が重要で、「~したい」ではなく、具体的に「何年後に~する」という目標を持つと今やるべきことが見えてきます。

また、経営承継のために人を育てることも大切。

そうしたことを伝えながら、女性農業者の活躍の後押しにも情熱を注いでいきたいと思っています。

現在、牛乳の生産抑制、戦争による肥料代、飼料代、燃料代の高騰と、酪農家の経営は大変厳しい状況にあります。

こんな時、酪農家が団結して、乳業メーカーや国の農業政策にしっかり提言できる体制、組織が重要です。

また、要請に対してはスピード感のある対応が大切だと思います。

Profile
埼玉県生まれ。短大を卒業後、大手スポーツ用品メーカーの販売促進部に勤務。23歳の時に北海道酪農青年との交流会で夫と知り合い結婚、標茶町へ。長女夫婦らと千葉牧場(経産牛330頭、育成牛190頭、直近の年間生産乳量3,200トン)を営む傍ら、2007(平成19)年に北海道指導農業士に認定。現在は北海道指導農業士会副会長のほか、標茶町農業協同組合代表監事、しべちゃ町農業女性カレッジ塾長を兼任し、道内で講演活動などを行っている。